運営体制をめぐって批判を浴びているイラストSNS大手「pixiv(ピクシブ)」が、新たに自社を風刺する漫画を投稿した利用者のアカウントを一時停止していたことが分かった。その後、誤った判断だったとしてこうした措置を解いたものの、すでに利用者から退会の声などが出ているなかで、状況を悪化させかねない対応に、インターネット上では大きな注目が集まっている。
pixivは2007年に開設。2011年7月時点で330万を超える会員を擁し、月間閲覧数は25億ページビュー(PV)。多種多様なイラストの投稿を受け付け、アニメ、漫画などを好む若年層から支持を得てきた。掲載するイラストは、趣味や芸術を志した作品だけではなく、社会風刺の漫画や、問題提起を呼びかけるポスターもあり、ネット上で文化の発信基地としての役割も果たしてきた。
それだけに自社を風刺する漫画の閲覧を規制し、投稿した利用者のアカウントを一時停止した行為は、影響が大きかったといえる。
焦点となった漫画は、pixivのイラストの二次利用をめぐって起きた騒動(関連記事)を解説したもの。かわいらしい絵柄で、皮肉を交えてはいるが、pixivの社員やその家族に対する犯罪予告などとはおよそ無縁の内容だ。
投稿した利用者は漫画の意図について、騒動のいきさつを知らず、怖がったりうろたえたりしているほかの利用者に状況を説明するためだった、としている。pixivの公式説明を不足に感じ、誤解によって削除対象にならないよう、穏当な表現を選んだつもりだったという。
しかし、この利用者は漫画を投稿した2011年7月29日当日にアカウントの一時停止を受けた。漫画が見られなくなったことで、交流のあるほかの利用者が不審を抱くなか、本人がミニブログ「Twitter(ツイッター)」やSNS「Google+(グーグルプラス)」で事情を説明すると、話題はこれらのソーシャルメディアを通じて一気に広まった。
間もなくpixivは、同日中に一時停止したアカウントを復旧させた。利用者が受け取った謝罪のメッセージによると、一時停止の理由は漫画が「イラストを投稿する場として他のユーザーの行動に影響を及ぼす可能性が高い作品」だったため。しかし「再度社内で確認したところ、停止措置を行うべき内容ではないと判断した」という。アカウント停止は誤った判断だった、として謝罪している。この利用者は謝罪のメッセージをTwitterやGoogle+で公開したあと、pixivから退会などはせず、従来と変わらず使い続けている。
一連の対応からは、pixivの混乱が伝わってくる。
急成長するソーシャルメディアで、利用者の不満が爆発する事態はまれではない。過去にはSNS国内最大手「mixi(ミクシィ)」で利用規約の改正をめぐって利用者が紛糾し、SNS世界最大手「Facebook(フェイスブック)」も個人情報の取り扱いに関して利用者の激しい批判を浴びている。
pixivにとってイラストの取り扱いをめぐる一連の騒動が大きな試練となっているが、今後いかに利用者に対応して早期に問題を収束させるか、あるいは競合サービスへの流出を許すのかが、ますます関心を呼ぶことになりそうだ。
(植木 皓=ニューズフロント)









