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私ができないだけです…ウクライナ避難民が見た日本社会の現実 | NHK | News Up




「支援はこれ以上ないってほどです。あとは私の問題ですね…」

ロシアによるウクライナ侵攻から5か月。日本に入国した避難者は1500人を超えました。手厚い支援に感謝する声も。

ただ、もどかしさを抱えながら暮らす人たちもいます。4月に避難してきた男性が話を聞かせてくれました。

(文末に避難者向けの相談窓口一覧を掲載します)


避難し支援もあるけれど

「海岸のある小さな街で、カフェやレストランがあって食事がおいしくて景色もきれいな場所でした。そんな平和な街にも毎日ミサイルが落ちるようになったんです」

そう話してくれたのは、大阪に避難しているアントン・ミカルコフさん(29)です。

アントンさんはウクライナ南部にある最大の港湾都市オデーサから東に100キロ余り離れたミコライウの出身で、ふだんはロシアとの衝突のある地域ではありませんでしたが、ロシアによる侵攻のあと状況が悪化。

3月29日にはミコライウの州庁舎がロケット弾による攻撃を受け、14人が死亡しました(3月末時点)。

慢性疾患を抱えるアントンさんは国外避難が認められ、姉が日本に15年以上住んでいたため、4月になって母親とともに日本へ逃れました。

避難してきた日本では日本語学校のグループが受け入れてくれ、家探しから基本的な生活用品を揃えるまで順調に進みました。

しかし、立ちはだかったのはことばの壁。

アントンさんはこれまで日本語の学習経験がまったくなく、読み書きも会話もできません。

日本語学校で毎日のように授業を受ける中で、挨拶や買い物など日常的な会話は徐々に学んでいるものの、まだまだ日本語は難しいといいます。英語でインタビューに答えてくれました。

アントンさん
日本語は英語圏の言語とは似ていないので難しいですね。文の作り方がウクライナ語と全く違うので、あらかじめ頭の中で文章を組み立ててから話さないといけません。それに日本語には漢字がたくさんあるので書くのも大変です。

ネックはやはり…

日本で暮らし始めて3か月。さらに行き詰まったのは「仕事探し」でした。

もともとウクライナではデジタルマーケティングのスキルを学び、ベンチャーとして広告代理店を立ち上げていたアントンさん。

ふだんから英語でやりとりしながらヨーロッパ圏の企業からの依頼を請け負ってきました。

日本でもそのスキルを生かそうとIT関係の企業の面接を繰り返しましたが…。

日本語はできますか?

面接で要求されたのはやはり日本語の能力。

数か月の日本語学習ではビジネスレベルに歯が立たず、これまでのところ日本の企業から依頼を請け負うことはできていません。

培ったスキルをあきらめ、一度は英会話の講師職の募集も検討しましたが、姉がいる大阪から遠く離れた東京での勤務が条件だったため、断らざるをえませんでした。

戦争が長期化するなか、日本語をさらに学びこのまま日本で住み続けるのか、英語をいかして別のヨーロッパの国に移住するのか、先行きが見えないといいます。

アントンさん
日本語を勉強していけば仕事を見つけられるかもしれませんが、数年間は時間が必要です。遠く離れたヨーロッパに移住する選択肢もありますが、それは今後の状況によりけりですね…

支援側ももどかしさ

アントンさんの避難生活をサポートしているのは、主に留学生の受け入れを行っている日本語学校のグループで作る「ウクライナ学生支援会」です。

会ではこれまでに全国で32人の若者を受け入れていて、今年度中に100人の受け入れを目標にしていますが、航空券の高騰などの影響で受け入れは予定より少し遅れているといいます。

後から避難する人が続きやすいよう、日本語学校では仕事探しなども積極的に支援しているといいます。

「清風情報工科学院」福原洋副校長
やはり仕事で使えるレベルの日本語を身につけるとなると2~3年は時間が必要です。一緒に仕事の面接にも行っているのですが、日本語がおぼつかないとなるとなかなか企業でのニーズも難しいのが現状で…

その上で避難者の支援のあり方については次のように話していました。

全体としては十分な支援があるものの、住んでいるエリアによってサポートのレベルがまちまちになりがちです。また戦況が不安定な中で学生たちは一人でいるときにニュースを見たりして現地でのつらい経験がフラッシュバックするようで、長期的にはメンタル面のケアも考える必要があります。

ニーズに合った教材の提供を

日本での生活でまず直面することばの壁。

外国人への日本語教育を支援するために文化庁は6月30日、ウェブサイト上で日本語を無料で学べるサイト「つながるひろがるにほんごでのくらし」にウクライナ語とロシア語を新たに追加しました。

避難者を受け入れた自治体などからの要望が多かったためです。

また、文化庁ではウクライナから避難してきた人から「日本語を学びたい」と相談を受けた際のコーディネーターの役割を担っています。

「対面で学びたい」「毎日学習したい」「平日は仕事をしているので土日に勉強したい」など相談者のニーズと「どのレベルを目指すか」というゴールに合わせ、自治体が開催する日本語教室を案内したり、教室のない地域ではオンライン講座を勧めたりといったマッチングを行います。

文化庁の担当者は「避難者が日本に来た当初より生活の基盤が整ってきたことで『日本語を学ぶにはどうしたらいいか』という問い合わせが増えています。要望を聞き取って最善の提案をしたい」と話しています。

このほか、NHKワールドもウクライナ語で解説された日本語学習サイトを制作しています。

子どもたちの学習支援を

祖国での教育の機会を奪われた子どもたちに対しても支援の動きが出ています。

子どもたちが言葉の壁につまずくことなく算数や数学といった科目を学べるように、ウクライナ語で計算方法、公式などを説明する動画の製作を始めたグループがあります。

「京都教育大学 外国人の子どもの教育を考える会」では、これまで日本語を母語としない子どもたちの学習を支援するため、ポルトガル語などの5言語と日本語の「算数」や「数学」の学習動画を製作してきました。

ロシアによる軍事侵攻を受け、ウクライナから避難してきた子ども達が母語で学べるようにと製作にかかる資金を寄付で集め、ことし4月から少しずつウクライナ語版の動画の公開を始めました。

ウクライナ語への翻訳は、留学生や今もウクライナ国内に住むウクライナ人の力を借りて行われています。

謝礼を送金することで困難な状況にある彼らへの経済的なサポートにもなっています。

京都教育大学 黒田恭史教授
日本語を話すことができないと、学習の遅れというのが当然出てきます。そこを回避するためには母語で学習できるような教材を提供していかないといけません。新しい言語を学んで、それを使って算数、数学というところまではなかなかたどりつかない。

黒田教授によれば、たとえば日本の教科書では足し算や引き算に筆算を使っていますが、ウクライナの教科書は横にずっと書いていくような計算スタイルになっているそうです。

動画では筆算のやり方もウクライナ語で学べるようになっています。

黒田教授
動画を使っている学校の教員の方からも、ウクライナから来た小学3年生の児童が、なかなか通常の授業の中では算数が分からなかったが、この動画を使うと、授業でちょっと手を挙げることもできるようになったという話を聞いています。

10年後20年後を考えたときに子供たちが未来を形づくるので、その子供たちの学力をしっかりと保障していかないと国が再建していかないように思います。その意味で学習が止まらないようにしっかりとサポートしていきたいです。

今回は急きょウクライナ語版の製作を立ち上げ、何とか今軌道に乗って来ました。そのため今後ミャンマーであったり、アフガニスタンの子供たちの学習支援も短期間で行うことができる可能性が出てきたなと思っています。子供たちの未来はやはり教育によって決まると思います。それは次のステージとして我々本気で考えていきたいと思っています。

各地には避難者の受け入れや困りごとををサポートしている窓口ができています。

ことし4月に私たちは全国の主な自治体の窓口一覧を公開し、今回は最新版にアップデートした一覧を改めて掲載します。

新たに避難予定で不安を抱える方、文化も言葉も違う環境で思いがけない困りごとが出てくる方もいると思います。もし気付かれたら周りの人が声をかけるきっかけにしてもらえたらと思います。

(ネットワーク報道部 清水阿喜子 杉本宙矢 鈴木彩里)

各地の主な相談窓口一覧

北海道

「北海道外国人相談センター」
電話:011ー200ー9595
時間:平日9時~17時(12時~13時を除く)
※ウクライナ語、ロシア語対応
E-mail:support@hiecc.or.jp

茨城県

「茨城県国際交流協会外国人相談センター」
電話:029-244-3811
時間:平日8時30分~17時
※ウクライナ語とロシア語は翻訳機対応

栃木県

「とちぎ外国人相談サポートセンター」
電話:028-627-3399
時間:火曜日から土曜日9時~16時
※ウクライナ語ロシア語は翻訳機で対応

群馬県

「ぐんま外国人総合相談ワンストップセンター」
電話:027-289-8275
時間:平日9~17時
※ウクライナ語とロシア語は翻訳機で対応

埼玉県

「外国人総合相談センター埼玉」
電話:048-833-3296
時間:平日9時~16時
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応

千葉県

「千葉県国際交流センター」
電話:043-297-2966
時間:平日9時~16時(12時~13時を除く)
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応

東京都

「一般財団法人東京都つながり創生財団」
電話:03-6258-1227
時間:平日10時~16時
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応

神奈川県

「多言語支援センターかながわ」
電話:045-316-2771
時間:平日9時~17時15分(12時~13時を除く)
※ウクライナ語は準備ができ次第対応

福井県

「福井県国際経済課」
電話:0776-20-0752
E-mail:[email protected]

長野県

「長野県多文化共生相談センター」
電話:026-219-3068
時間:平日、第1・3土曜日の10時~18時(第1・3水曜日を除く)
※電話通訳・翻訳機でウクライナ語対応(予約制)

岐阜県

「岐阜県在住外国人相談センター」
電話:058-263-8066
時間:平日9時半~16時半
※ウクライナ語(予約制)ロシア語対応

静岡県

「静岡県多文化共生課」
電話:054-221-2178
時間:平日9時~17時
話せる言葉:日本語
E-mail:[email protected]

愛知県

「あいち多文化共生センター」
電話:052-961-7902
時間:月曜日~土曜日10~18時(年末年始12/29~1/3は休館日)
※訪問の場合は翻訳機でウクライナ語とロシア語対応

大阪府

「大阪府国際交流財団(OFIX)」
電話:06-6941-2297
時間:月曜日、金曜日9時~20時、火曜日、水曜日、木曜日9時~17時半、第2第4日曜日13時~17時
※ウクライナ語、ロシア語対応

兵庫県

「ひょうご多文化共生総合相談センター」
電話:078-382-2052
時間:平日9時~17時
※ウクライナ語、ロシア語対応

徳島県

「とくしま国際戦略センター」
電話:088-656-3312・088-656-3313
時間:10時~18時(12/9~1/3は休み)
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応
E-mail:topia@topia.ne.jp

愛媛県

「愛媛県外国人相談ワンストップセンター」
電話:080-4783-5253
時間:月曜日~土曜日9時~17時
※ウクライナ語(※ウクライナ語通訳は常駐せず、県内在住者の協力で対応)、ロシア語対応
E-mail:sodan@epic.or.jp

大分県

「国際政策課」
電話:097-506-2046
時間:平日9~17時

佐賀県

「さが多文化共生センター」
電話:0952-22-7830
時間:平日9時~16時(12時~13時を除く)
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応
E-mail:info@spira.or.jp

長崎県

「長崎県国際交流協会」
電話:095-820-3377
時間:月曜日~土曜日9時~17時
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応

熊本県

「熊本県外国人サポートセンター」
電話:080-4275-4489
時間:平日8時半~17時15分
※ウクライナ語(予約制)、ロシア語対応

鹿児島県

「県観光・文化スポーツ部国際交流課」
電話:099-286-2303
時間:開庁日の8時半~17時15分

政令指定都市

さいたま市
「さいたま観光国際協会国際交流センター」
電話:048-887-1506
時間:月曜日から土曜日9時~16時(祝日は休み)
※事前予約でウクライナ語・ロシア語対応可
E-mail:iec@stib.jp

千葉市
「千葉市国際交流協会」
電話:043-245-5750
時間:平日9時~20時、土曜日:9時~17時
※ウクライナ語、ロシア語は自動翻訳等で対応(窓口)

横浜市
「横浜市多文化共生総合相談センター」
電話:045-222-1209
時間:平日10時~17時・第2第4土曜日10時~13時
※ウクライナ語、ロシア語は調整中
E-mail:t-info@yoke.or.jp

川崎市
「川崎市多文化共生総合相談ワンストップセンター」
電話:044-455-8811
時間:月曜日~土曜日9時~17時
※ウクライナ語は翻訳機での対応(窓口)、ロシア語は翻訳機・三者通訳サービスで対応(窓口及び電話)
E-mail:soudan39@kian.or.jp

相模原市
「相模原市国際課」
電話:042-707-1569
時間:平日8時半~17時15分
※ウクライナ語、ロシア語は翻訳機で対応

静岡市
「静岡市多文化共生総合相談センター」
電話:054-273-5931、054-354-2009
時間:平日8時半~17時15分
※ウクライナ語(予約制)対応

浜松市
「浜松市多文化共生センター」
電話:053-458-2170
時間:9時~17時半(原則として)
E-mail:info@hi-hice.jp

名古屋市
「名古屋国際センター情報サービスコーナー」
電話:052-581-0100
時間:火曜日~日曜日9時~19時(12時~13時除く)

京都市
「ウクライナ・キエフ京都市民ぐるみ受入支援ネットワーク」
電話:075-752-3511
時間:火曜日から日曜日9時~21時
※ウクライナ語が対応可の場合も

大阪市
「大阪国際交流センター」
電話:06-6773-6533
時間:平日9時~19時土曜日・日曜日・祝日9時~17時30分

堺市
「多文化交流プラザ・さかい」
電話:072-228-7499
時間:平日午前9時~17時30分
※ウクライナ語は翻訳機で対応

神戸市
「神戸国際コミュニティセンター」
電話:078-742-8705
時間:平日10時~17時(12-13時除く・電話は9時から対応可能)

北九州市
「北九州国際交流協会」
電話:080-6445-2606
時間:平日9時半~16時(祝日、年末年始を除く)
※事前予約でウクライナ語の対応可能
E-mail:helpdesk@kitaq-koryu.jp

※記載している自治体以外にも現在、窓口の設置準備中の自治体もあります。



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