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無音ミュージックガイド (前編) ジョン・レノンやOrbitalが“何も音がしない曲”に込めたメッセージとは(音楽ナタリー) – Yahoo!ニュース


【音声】4’33” (In tre parti: 30” / 2’23” / 1’40”) (1952) (Instrumental)(他23件)

このアニバーサリーイヤーに際して、本稿では「4’33″」と同じように音のない新旧洋邦の曲を、「無音ミュージックガイド」と銘打って前後編に分けてたっぷりと紹介していく。聴きたいときにいつでも好きなだけ音にアプローチできるサブスク時代だからこそ、あえて何も音がしない静寂の世界に浸ってみるのも乙なもの。何も聞こえない、何も聞かせてくれない、そんな“無”の音楽をこの記事を読みながらたっぷりとご賞味あれ。

文 / 橋本尚平

■ 「4’33″」よりも前から存在していた無音の曲
そもそもジョン・ケージの「4’33″」とはどんな曲なのか? すでにたくさんの先行する研究資料があり、それだけで本1冊分になりそうなほど語ることの多いテーマであるため詳しい説明は避けるが、簡単に言えばこの曲は全3楽章からなり、楽譜には各楽章に「TACET(長い休み)」とだけ書かれている。つまり演奏者は4分33秒という決められた演奏時間の中で一切音を出さずに休まなければいけない。その間に観客は、周囲の物音や自分が発する音などの環境音を音楽として聴き、完全な静寂が存在しないことに気付かされるのだ。この「4’33″」は音楽に限らず思想や芸術などさまざまな分野に影響を与え、現代音楽を代表する曲の1つとなっている。

ただ、「4’33″」が音楽史に残る非常に画期的な曲だったことは間違いないが、“無音の曲”というものは実はそれ以前にも存在していた。

□ エルヴィン・シュルホフ「5つのピトレスク Op.31: No.3. In futurum」
伝統的なアートを拒絶するダダイズム運動の旗手であり、クラシックにジャズを取り入れた最初の世代として知られているチェコの作曲家、エルヴィン・シュルホフが第一次世界大戦後の1919年に発表した「5つのピトレスク」の第3曲「In futurum」は、譜面すべてがさまざまな休符とアゴーギク(テンポの緩急の変化)の指示記号だけで構成されている。楽譜をパッと見るとたくさんの書き込みがあるためにぎやかな曲に見えるが、この指示に従えば演奏者は曲が終わるまで常に休み続けることになる。ちなみに彼の音楽はその後、ナチス・ドイツに退廃音楽の烙印を押され、彼自身も迫害を受けて強制収容所にてその生涯を閉じている。

□ アルフォンス・アレー「Marche funebre composee pour les funerailles d’un grand homme sourd」
さらに古い例として、フランスのコント作家アルフォンス・アレーは1884年に「Marche funebre composee pour les funerailles d’un grand homme sourd(偉大な聴覚障害者の葬儀のための葬送行進曲)」という、1つも音符のない24小節のスコアを書いている。曲名から不謹慎なブラックジョークのように思えるが、そうではなく「人は大きな悲しみの中で沈黙するので、葬儀の参列者に迷惑をかけないため、演奏者は騒音を出す代わりに小節を数えることに専念すればいい」という意図があるのだという(※1)。

□ イヴ・クライン「Symphonie Monoton-silence」
全編無音だけの曲というわけではないが、青色の可能性を追求したモノクローム絵画などで知られる芸術家のイヴ・クラインは、1940年代後半に「Symphonie Monoton-silence」という交響曲を創作している。40分あるこの曲は、前半20分はドローンのように持続させた単音を全員でユニゾンで演奏し、後半20分は演奏をやめて無音になるというものだった(※3)。

■ 世界各国のアーティストによる「4’33″」のカバーいろいろ
ここからは、さまざまなアーティストが「4’33″」を演奏した音源を紹介していく。

□ Dead Territory「4’33” Death Metal Cover」
「4’33″」は現代音楽やクラシックというジャンルの枠を超えてたくさんの人々に演奏されているが、近年もっとも話題になったのはこの動画だろう。オーストリアのメタルバンド・Dead Territoryが2015年にYouTubeで公開した「4’33” Death Metal Cover」だ。スタジオに入ってきた強面のメンバーたちが楽器のセッティングを終え、ドラムロールが威勢よく鳴った直後、全員が無言で静止するというこの映像は、あまりのバカバカしさから当時ニュースサイトなどで紹介されSNSで拡散された。

□ フランク・ザッパ「4’33″」
ロックのアーティストがカバーした例はほかにもあり、ケージが亡くなった翌年の1993年に発売されたトリビュートアルバム「A Chance Operation: The John Cage Tribute」にはあのフランク・ザッパの「4’33″」が収録されている。

ちなみにこの頃ザッパは前立腺がんで闘病中だったため、「ケージのトリビュートアルバムに参加して何かカバーしてほしい」というオファーに対して「時間がないから」と一旦は断ったが、あきらめきれない企画者から「お時間を取らせない方法があります。4分33秒以上は」と「4’33″」のカバーを提案され、この話を面白がり快諾したという(※4)。なおトリビュートアルバムが発売された約1カ月後の1993年12月、ザッパはこの世を去った。

□ V.A.「STUMM433」
2019年10月には、ダニエル・ミラーが創設したレーベル・Mute Recordsの40周年企画作品として、新旧アーティストが「4’33″」を演奏した5枚組ボックス「STUMM433」が発売された。この作品にはNew Order、Depeche Mode、Einstürzende Neubauten、マーク・スチュワート、Wire、Phewなど58組にもおよぶアーティストが参加。それぞれ「4’33″」を独自に解釈し、無音だけにとどまらないさまざまな解釈と発想でカバーに挑んでいる。

□ ヤン富田「4’33″」
国内ではヤン富田による「4’33″」のカバーが有名だ。1992年発売のアルバム「MUSIC FOR ASTRO AGE」に収録されたこのカバーは、冒頭でTR-808のカウベルが1度鳴るだけで残りの時間はすべて無音。本人はこのカバーについて、アナログレコードの時代からCDの時代になり、針音のない無音状態を作れるようになったことで実現したと解説している。同アルバムには「4’33″」のダブバージョン「4’33” Dub」も収録されているが、こちらは全編にわたって電子音が鳴っており無音ではない。

なおヤン富田は1996年に、「4’33″」初演時のピアニストだったデヴィッド・チュードアに4分33秒間ピアノの前に座ってもらい、そのときの脳波や心拍のデータを記録するという「4’33″」の“バイオフィードバックバージョン”を制作する予定だったが、これはチュードアの健康状態から叶わなかったという(※5)。

□ ムジカ・ピッコリーノ「4分33秒」
ほかにも国内の例として、NHK Eテレの音楽教養番組「ムジカ・ピッコリーノ」内で浜野謙太(在日ファンク)ら出演者たちによって演奏された音源がアルバム「ムジカ・ピッコリーノ ピッコリーノ号の冒険 I」に収録されている。「ムジカ・ピッコリーノ」は音楽が失われた大地・ムジカムンドを舞台にした、音楽や楽器の記憶を閉じ込めたオルゴール“モンストロ”を治療する“ムジカドクター”たちの物語。「4’33″」が演奏されたのは2013年9月放送の1stシーズン21話「鳴かない!?」の回で(※6)、主人公たちは静かな音楽を求めるモンストロを砂漠に連れていき、そこで「静寂の中にも実はさまざまな音が鳴っている」ということに気付く。ちなみにアルバムに収録されている音源は、時間を計るストップウォッチの音が鳴っているため無音ではなく、4分33秒どころか30秒程度でフェイドアウトしている。

■ A Halo Called Fred「15’00″(4’33” Extended Dance Mix)」
アメリカ・ニュージャージーのバンド、A Halo Called Fredが1998年にリリースしたアルバム「Necessity Is The Motherfucker Of Invention」には、「4’33″」をDJにとって使いやすくしたロングバージョン、という体の15分間の無音「15’00″(4’33” Extended Dance Mix)」が収録されている。この曲は冒頭でキックが一発鳴るのみで、以降はずっと無音のまま。原曲の3倍以上の静寂を楽しめるので、「4’33″」を繰り返し聴きたい人にはお得なカバーと言えるかもしれない。

□ Cage Against The Machine「4’33″」
2010年にはCage Against The Machineというプロジェクトにより、「4’33″」のカバーおよびその複数のリミックスがリリースされた。

このプロジェクトが行われた背景として、クリスマスシーズンに音楽チャートの首位争いが盛んになるイギリスで、当時オーディション番組「The X Factor」のその年の優勝者が4年連続で1位を獲っていたことがあった。これを面白くないと感じていた人は多かったようで、Facebookではオーディション優勝者の5年連続1位を阻止しようという有志たちにより、Rage Against The Machineが1992年に発表した曲「Killing in the Name」を1位にしようという運動が勃発。圧倒的な差を付けて「Killing in the Name」を首位にすることに成功したのだった。

Cage Against The Machineはその翌年に「今度は無音の曲でヒットチャート1位を狙おう」と行われた企画。ビリー・ブラッグ、U.N.K.L.E.、Orbital、Coldcut、The Big Pink、The Kooks、Enter Shikari、BO NINGENらがロンドンのスタジオに集まって、大人数で押し黙ったまま「4’33″」をレコーディングした(※7)。配信されているオリジナルバージョンを聴くと、再生して4分34秒経ったところでレコーディングの終了を喜ぶ参加者たちの拍手喝采を聴くことができる。

□ The Planets「A One Minute Silence(After Cage)」
こちらはカバーではないが、10代から20代前半の男女8人で構成されたクラシックバンド、The Planetsが2002年に発表したデビューアルバム「Classical Graffiti」には、「A One Minute Silence(After Cage)」というタイトルの約1分の無音の曲が収録されている。しかしこのアルバムのプロデュースを手がけた作曲家のマイク・バットは、この曲の作曲者クレジットを「Batt / Cage」と記したため、ジョン・ケージの楽譜を出版する出版社から著作権侵害として訴えられてしまった。バットはこの曲を実際に演奏し、自分の作った曲とケージの「4’33″」が別物だと証明しようとしたが、結局その後、出版社に多額の和解金を支払ったという(※8)。

■ 無音に込められたメッセージ
“無音の曲”は「4’33″」以外にも古今東西に存在している。無音の曲がまだそれほど作られていなかった時代は特に、その無音に込められたアーティストからのメッセージを感じさせるものが多く見られた。

□ The West Coast Pop Art Experimental Band「Anniversary of World War III」
「4’33″」以前に作られた無音の曲は録音物ではなく、楽譜やその演奏により無音が表現されていた。「曲名の付いた無音の録音物」という意味では、西海岸のソフトサイケバンド・The West Coast Pop Art Experimental Bandが1968年に発表したアルバム「A Child’s Guide to Good and Evil」の収録曲「Anniversary of World War III」が最初期のものの1つだろう。この曲名は日本語で「第三次世界大戦記念日」を意味しているので、おそらくバンドは「核戦争によりすべて消滅し何もなくなってしまった世界」を無音で描いているのではないだろうか。藤子・F・不二雄のSF短編に、日常の途中で突然核戦争が勃発し、最後のコマが真っ白になる「ある日……」という作品があるが、無音の使い方にこれと少し共通したものを感じる。

□ ジョン・レノン「Nutopian International Anthem」 / ジョン・レノン&オノ・ヨーコ「Two Minutes Silence」
この記事で紹介するアーティストの中で、もっとも有名な人物がジョン・レノンだろう。彼は2つの無音トラックをこの世に残した。1969年に発売されたジョン・レノン&オノ・ヨーコ「Unfinished Music No.2: Life with the Lions」の収録曲「Two Minutes Silence(邦題:沈黙の2分間)」と、1973年発売のソロアルバム「Mind Games(邦題:ヌートピア宣言)」収録の「Nutopian International Anthem(邦題:ヌートピア国際賛歌)」だ。

ジョンとヨーコは1973年4月1日に、国土も国境もパスポートもない架空の国家ヌートピアの“建国”を宣言。6秒間の無音トラック「Nutopian International Anthem」はこの国の国歌として作られた曲で、再生中に自分の好きな歌を思い浮かべればそれが国歌になるという(※9)。なおヨーコは現在も、毎年4月1日になると「ヌートピア宣言」を発信し続けている。

「Unfinished Music No.2: Life with the Lions」で「Two Minutes Silence」の前に収録されている曲「Baby’s Heartbeat」は、妊娠中のヨーコが流産の危機にあったときに、ジョンが赤ちゃんの記録を残すためにお腹にマイクを当てて録音したものと言われている(※10)。「Two Minutes Silence」は黙祷を指して使われている言葉なので、この無音トラックは結局産まれることができなかった赤ちゃんに祈りを捧げている曲なのかもしれない。

□ Sly & The Family Stone「There’s a Riot Goin’ On」
1971年にリリースされたSly & The Family Stoneの代表作であるアルバム「There’s a Riot Goin’ On(邦題:暴動)」の表題曲は、演奏時間0秒の曲だ。もともとアナログ盤にはA面の最後の曲として曲目リストにクレジットされていたが、完全に0秒の音楽を聴くことは物理的にできないため、CDやストリーミングでは代わりに4秒間の無音トラックが収録 / 配信されている。

この曲が収録された理由については長年、1970年7月27日にイリノイ州シカゴで暴動が発生したためだと推測されていた。Sly & The Family Stoneはこの日、シカゴ中心部のグラントパークでフリーライブを開催する予定だったが、ライブを待ちきれない観客たちが落ち着きを失って次第に暴動へと発展。警察を含む100人以上が負傷したため、バンドはこれについて「メンバーが遅刻したからだろう」「演奏を拒否したからだろう」と言われ責任を取らされたのだ。しかし、1997年にウエストロサンゼルスにあるスライ・ストーンの自宅スタジオを訪問したファンが直接本人に聞いた話によると、彼はその噂を否定して「I did it because I felt there should be no riots(暴動はあってはならないことだと思ったからだ)」と、「暴動が起こっている」というタイトルで0秒の曲を作った意図を説明したという(※11)。

□ ジョン・デンバー「The Ballad of Richard Nixon」
世界中で多くの人々に歌われる名曲「カントリー・ロード」の作者であるジョン・デンバーは、1969年発表のソロデビューアルバム「Rhymes and Reasons」に無音トラック「The Ballad of Richard Nixon(邦題:リチャード・ニクソンの物語)」を収録している。おそらくこの曲が表しているのは、当時のアメリカ合衆国大統領であるリチャード・ニクソンが、歌にできることなど何もない空っぽな存在だという皮肉なのだろう。

なお、同アルバムにはニクソンの大統領就任と同時に副大統領になったスピロ・アグニューの歌「The Ballad of Spiro Agnew(邦題:スピロ・アグニューのバラード)」も収録されている。これはフォークシンガーのトム・パクストンのカバーで、「I’ll sing of Spiro Agnew, and all the things he’s done(スピロ・アグニューと、彼が成し遂げたすべてのことをこれから歌います)」と歌い始めたところで曲が終わるという、こちらも政権に対する皮肉たっぷりな内容になっている。

□ Orbital「Are We Here?(Criminal Justice Bill?)」
政治家への無音での抗議は、テクノユニットのOrbitalも行っている。彼らが1994年に発表した「Are We Here?」は表題曲のさまざまなバージョンを集めたシングルだが、5曲目の「Are We Here?(Criminal Justice Bill?)」は4分間の無音トラックだ。

当時イギリスでは、少年による凶悪犯罪が立て続けに発生したことがきっかけとなり「1994年刑事司法及び公共の秩序法(Criminal Justice and Public Order Act 1994)」が可決された。しかしこの法案には「反復するビートを集会で鳴らすこと」についての規制も定められており、事実上レイヴを取り締まり排除する内容になっていた(※12)。これに対して多くの人々が反対を表明。ロンドン市内ではデモ活動が盛んに行われるようになった(※13)。レイヴカルチャーの中心で活動していたOrbitalはそんな中で、この規制に対する抗議の意味を込めて、ビートの反復が一切ない無音の曲をリリースしたのだ。

□ Soulfly「9-11-01」
元Sepulturaのマックス・カヴァレラ率いるへヴィメタルバンド、Soulflyが2002年にリリースしたアルバム「3」の9曲目「9-11-01」は、1分間の無音トラック。戦争や社会問題などをテーマに怒りと悲しみを曲にしてきた彼らはこの無音で、曲タイトルの通り前年に発生したアメリカ同時多発テロの犠牲者に哀悼を捧げる1分間の黙祷を表現している。

□ アフリカ・バンバータ「Beware(The Funk Is Everywhere)」
アフリカ・バンバータが1986年にリリースしたアルバム「Beware(The Funk Is Everywhere)」のラストに収録された表題曲も20秒間の無音だ。和訳すると「気を付けろ(ファンクはどこにでもある)」というタイトルの通り、このアルバムでバンバータはエレクトロファンクのサウンドを土台にしつつ、ラップではなくメロディアスな歌心あふれる曲や、MC5「Kick Out the Jams」のカバーなど歪んだギターを取り入れた曲、Queenの「We Will Rock You」をモチーフにした「Funk You」などさまざまなタイプの曲に挑戦。まるで「どんな曲にもファンクはある」と言わんばかりの1枚を完成させた。もしラストの無音トラック「Beware(The Funk Is Everywhere)」でバンバータが「無音ですらファンクだ」と主張しているのだとしたら、これはある意味ジョン・ケージの「無音も音楽である」というイズムを継承した作品だと言えるかもしれない。

なおアルバム「Beware(The Funk Is Everywhere)」は、ストリーミングでは無音トラックを抜いた8曲のみが配信されている。

□ Crass「The Sound Of Free Speech」
メンバーが意図していない形で無音トラックが作られてしまった例もある。アナーコパンクの代名詞的な存在であるCrassが1978年にリリースした1stアルバム「The Feeding Of The 5000」には、厳かなスポークンワードとノイズからなる「Reality Asylum」という曲が収録される予定だったが、イエス・キリストをひたすらこき下ろす歌詞だったため、レコードプレス工場の職員が作業を拒否し、やむを得ず代わりに2分間の無音トラック「The Sound Of Free Speech」が収められることになった(※14)。

□ Mr.Children「I LOVE CD shops!」
Mr.Childrenがデビュー25周年の2017年にリリースした2枚のシングル「ヒカリノアトリエ」「himawari」は、いずれも7曲目が25秒間の無音だ。これらのトラックは裏ジャケットの収録リストなどに曲名表記はないが、CDDBには「I LOVE CD shops!」という曲名が登録されている。

この無音について公式からアナウンスされていないので実際にこれが曲名なのかは不明だが、このタイトルにはCDを手に取ってくれた人へのメッセージが込められているのではないかと考えられる。というのも、このシングルが発売される前年に桜井和寿は「配信が主流の時代になってもCDを手に取る喜びやお店に足を運ぶワクワク感を感じてもらいたいから」と、ライブで訪れた街のCDショップを訪問してCD購入者にプレゼントするためのサイン入りステッカーを置いていく「I 🖤 CD shops!」というプロジェクトを始動していたのだ(※15)。このプロジェクトは2018年いっぱいまで行われており、「ヒカリノアトリエ」「himawari」が発売された時期と合致する。どちらのシングルも7曲目以降の音源はCDでしか聴くことのできないシークレットトラックとなっており、おそらくミスチルはこれらの無音トラックおよびシークレットトラックで「CDを聴く面白さ」や「CDショップへのリスペクト」を表現したのではないだろうか。

「ヒカリノアトリエ」「himawari」のように、本編終了後にしばしの無音を経てシークレットトラックが始まるというのは、特にCDの全盛期に流行した構成だ。後編ではこのような、CD時代ならではの無音トラック、ストリーミング時代ならではの無音トラックの例についても言及していく。

<後編に続く>

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01. Three Pieces of Classical Music That Are Just Silence : Interlude
02. File:Marche funèbre composée pour les funérailles d’un grand homme sourd – Alphonse Allais.jpeg – Wikimedia Commons
03. Ressources – Yves Klein
04. A Chance Operation―The John Cage Tribute – Globalia
05. ヤン富田が探求する「音楽による意識の拡大」
06. ムジカ・ピッコリーノ(第1シリーズ) ムジカ・ピッコリーノ「鳴かない!?」(趣味/教育) | WEBザテレビジョン(0000997119-21)
07. Cage’s “4’33″” Going for UK Xmas Number One | Pitchfork
08. BBC NEWS | Entertainment | Silent music dispute resolved
09. ジョン・レノン「Nutopian International Anthem [2010 Digital Remaster]」【Music Store】powered by レコチョク
10. 2009年12月25日(金)放送 TBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ 波瀾万丈スペシャル」
11. MY WEEKEND WITH SLY STONE(※2008年1月7日のWebArchive)
12. Criminal Justice and Public Order Act 1994
13. ‘A lost freedom’: When new age travellers found acid house – in pictures | Photography | The Guardian
14. Crass ‎– The Feeding Of The Five Thousand | 阿木 譲 a perfect day
15. 桜井和寿がCDショップへ感謝を届ける新プロジェクト開始 – 音楽ナタリー



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