ウクライナ問題を見ていて、米国と同じ側にいることがどれほど大きな幸せであるかを切に感じるようになった。ロシアの一撃に耐えられそうもないと見えたウクライナが予想外に善戦しているのは、米国の装備や情報のおかげだ。韓国の立場は、ウクライナよりもはるかに堅固だ。米軍が2万8000人も駐屯して守ってくれている同盟国だ。日本5万2000人、ドイツ3万6000人に続き、世界で3番目に多い。しかも、2万8000..
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ウクライナ問題を見ていて、米国と同じ側にいることがどれほど大きな幸せであるかを切に感じるようになった。ロシアの一撃に耐えられそうもないと見えたウクライナが予想外に善戦しているのは、米国の装備や情報のおかげだ。韓国の立場は、ウクライナよりもはるかに堅固だ。米軍が2万8000人も駐屯して守ってくれている同盟国だ。日本5万2000人、ドイツ3万6000人に続き、世界で3番目に多い。しかも、2万8000人で終わりではない。韓国が侵略されたら、その数倍の増援軍が韓半島に駆け付けることになっている。その実効性を担保してくれるのが日本という後方基地だ。
6・25戦争のとき、米軍が釜山に到着したのは、南侵から6日後の7月1日だった。1万キロ離れた米国西部から出発していたらとても無理だった。日本に駐屯していた第24師団の中で、最も早く召集された第21歩兵連隊第1大隊を投入した。大隊長の名前を取って「スミス支隊」と呼ばれた同部隊は装備も訓練も不十分で、苦戦した。しかし、米軍が韓半島に登場したことで北朝鮮は緊張し、戦列を再整備した。マッカーサー司令官は「スミス支隊の早期投入で10日間という時間を稼いだ」と分析した。
安保理決議84号に基づいて朝鮮国連軍司令部が東京に創設され、戦争の間ずっと韓半島の防衛を指揮した。1957年に国連軍司令部がソウルに移転したのに伴い、東京には国連軍後方司令部(UNC REAR)が新たに作られた。現在も、ごく少数の人員が勤務している。韓半島有事の際にソウルの国連軍司令部が在日米軍を動員できる法的根拠として残されたのだ。
2002年に沖縄を訪問した韓国外交部(省に相当)の関係者は、那覇軍港の近くに2000万平方メートルを超える土地がさびた鉄条網に囲まれて放置されているのを見ていぶかしがった。「なぜこの土地を遊ばせているのか」と尋ねたら、日本政府の関係者は「韓国で戦争が起きた場合に米国から空輸されてくる増援軍の1次集結地として使われる土地」と説明したという。
革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は少し前、海上で実施された韓米日合同訓練について「極端な親日国防」というフレームを当てがった。旭日旗、自衛隊、独島といった揮発性の高い単語を動員した。近いうちに韓国の領土で日本の軍靴の音が大きく聞こえるかのように脅かした。日本の軍国主義の亡霊がよみがえっているという意味だ。それなら日本は、韓国と違って軍事協力を喜び、積極性を見せているべきだが、果たしてそうか。
2014年7月、当時の安倍首相は国会で「米海兵隊が日本から出撃しようと思ったら日米間の事前協議が必要」と答弁した。日本が了解しなければ韓国を救うために駆け付けることはできない、という主張だった。韓米同盟の後方基地としての役割を拒否するこの安倍答弁は、韓国政府に大きな衝撃を与えた。数カ月後、米国務省が「韓半島有事の際には日本政府との協議なしに在日米軍を自動派遣する」という立場を再確認したことで波紋は消えた。
日本も、韓国と安全保障問題で関わり合いになることを好ましく思っていない。北朝鮮の軍事的標的になる危険があるからだ。韓国が、在韓米軍の台湾問題介入で中国を刺激するのではないかと懸念しているのと同じことだ。実際、北朝鮮が日本を狙ったミサイルの発射試験をしているのは、有事の際に韓半島へ投入される在日米軍の基地を念頭に置いているからだ。
1990年代以降、米国は独力でアジア地域防衛の責任を負うことに限界を感じた。そこで同盟国である韓国と日本の協力システムと、負担の分担を考えた。日本は韓国との協力を、米日同盟の義務として受け入れている。韓国にとっても、韓米同盟と韓米日協力はひとまとめのパッケージだ。ところが李在明代表は、韓米同盟という恩恵のみを取り、韓米同盟に伴う負担は拒否すべきだという。
韓国と日本の共通分母は対米同盟だけではない。北朝鮮の核ミサイルが落ちてくる可能性のある国は、事実上、韓国と日本だけだ。米国が、本土を脅かす北朝鮮のICBMを凍結する代償として核保有を容認する「利己的選択」をする場合、強力に抗議してこれを阻止せねばならない国も韓国と日本だ。同じ脅威に直面している国と力を合わせることは安全保障の基本原則だ。日本が好きだから、日本と親しくなりたいから協力するのではない。国を守る上で必要だからだ。
李在明代表は「歴史を忘れた国民には未来がない」と言った。李代表の歴史観は、1980年代の大学における新入生の意識化カリキュラムそのままだ。韓国のあらゆる悪の原因を親日に求めている。こんな自閉的被害妄想史観こそ、国の未来を危うくする。李代表が国を率いる指導者になりたいのなら、韓国の安全保障がどのように動いているのか、まずその基本原理から理解しなければならない。
金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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