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アングル:経済危機のレバノンでコレラ流行、背景に深刻な水問題 | ロイター


[ハルバ(レバノン) 8日 トムソン・ロイター財団] – レバノン北部の難民キャンプでは、水道が止まるのは日常茶飯事だ。だが、マハ・エルハメッドさん(34)と家族は、水道が出なくなってもボトル入りの水を買うことがもはやできない。

 11月8日、レバノン北部の難民キャンプでは、水道が止まるのは日常茶飯事だが、マハ・エルハメッドさん(34)と家族は、水道が出なくなってもボトル入りの水を買うことがもはやできない。写真は容器に水をためるシリア難民。2017年3月、レバノン・ベッカー高原の町、バーエリアスにある仮設集落で撮影(2022年 ロイター/Aziz Taher)

「水道水がない時は、近くの池に頼っている」

コレラに感染し重症化した4歳の息子の病床に寄り添いながら、彼女は語った。経済危機で苦しむレバノンに、コレラがさらなる悲劇をもたらしつつある。

人口600万人のレバノンでは、10月以降わずか1カ月のうちにコレラの感染が国中に拡大し、同国保健省が発表した最新のデータによれば2000人近くが罹患、17人が死亡した。

レバノンでは1993年以来、コレラの流行は終息状態にあった。しかし、エリート層の派閥抗争で政府の機能がまひする中、深刻な経済危機は4年目に突入し、公共サービスが打撃を受けている。

コレラは、人間の排泄物などで汚染された食べ物や水を摂取することで感染する、下痢を伴う病気だ。治療を受けなければ数時間で死に至る恐れもあり、子どもへの危険性は特に高い。

エルハメッドさんの息子は先週、アッカールにあるアル・ラッシ公立病院に搬送された際、蘇生措置を要する状態にあった。息子の回復を祈りながら、彼女はこれまでと同じ悲惨な生活へと戻ることに恐怖を抱いていた。

息子の容体についての医師の説明を待つ間、エルハメッドさんはトムソン・ロイター財団の取材にこう話した。

「ここに来る原因となった、感染性のある水を飲む生活に戻ることになってしまう」

<汚染された水>

国連児童基金(ユニセフ)によると、水道管からの供給が不十分なことや、水道水の代わりとなる水の価格上昇などから、金銭的余裕のない難民やレバノンの家庭は汚染された水の使用を余儀なくされている。

また、広範囲の停電によってポンプ場や浄水場が停止したため配水システムが作動せず、清潔な水道水の配給が滞っているという。

「慢性的に清潔な水や電気を家庭やキャンプに届けることができず困っている。これにより、下水処理にもさらに多くの問題が生じている」とアメリカン大学ベイルート医療センター感染症研究所のガッサン・ドゥバイボ所長は説明する。

レバノンで暮らす多くの人々と同様、エルハメッドさんは水道水の安全性に懐疑的だ。もし水道から水が出ていたとしても、飲用や料理にはボトル入りの水を買う方が望ましいと思っている。

だが、ボトル入りの水は、急激なインフレで昨年と比べ3-5倍にまで価格が高騰。現在、人口の80%が貧困状態にあるレバノンでは、多くの人にとって手の届かないものになってしまった。

エルハメッドさんによれば、建設作業員である夫の給料ではボトル入りの水を買うことができなくなり、「不衛生な」水道水を飲むしかないという。

シャワーや洗濯などに必要な水は、ろ過した水を民間業者から購入してタンクにため、エル・ハメッドさんの一家と近隣住民で共有して使っているが、この価格も上昇。残る選択肢は池の水だけだ。

また、コレラの流行は人手不足と資金難に苦しむ医療施設にとっても重荷となっている。

アル・ラッシ病院のムハンマド・ハドリン院長は、コレラ患者の中には緊急治療が必要なケースもあり、病床数がひっ迫しかねないとの懸念を示す。

「より多くの患者に対応できるよう、病棟を拡大しようと尽力しているが、今はとても困難な状況にある。政府がどの程度の拡大資金を調達できるのかも不明だ」

世界保健機関(WHO)のレバノン担当者、アブディナジャ・アブバカル氏は、清潔な水や衛生管理キットの供給に努めているものの、感染状況がこれから最悪の状況を迎える可能性を懸念していると話した。

<シリアでも感染爆発>

レバノン政府の当局者は今回のコレラ感染について、隣国シリアでの感染拡大が原因と考えている。

シリア保健省は9月、9人の死亡を受け、アレッポでのコレラ流行を宣言。国連は、ユーフラテス川の水を飲んだ人がいたことが原因とみている。

ベイルートを拠点とする表現の自由を保護する非営利組織で、トムソン・ロイター財団の資金パートナーでもあるサミール・カッシル財団(SKF)によれば、レバノンにおけるコレラ感染の拡大は、11年にわたる戦争でレバノンに避難している約150万人のシリア難民への敵対心を増大させる恐れもあるという。

「レバノンで初めてコレラ感染が確認された10月、シリア人に対するヘイトスピーチの増加がみられた」とSKFのウィダード・ジャーブル研究員は分析する。

WHOは先月、紛争や自然災害が世界中で前例のない感染拡大を引き起こしていると指摘し、ワクチンの迅速な支給を呼びかけた。

レバノンは今月初旬、第1回目のワクチン配給を受け取った。会見でアビヤド保健相はワクチンについて、感染拡大を抑制する上で「必要不可欠な役割」を担うだろうと述べた。

同省の報道官はこれまでに、ワクチンは前線の医療従事者や、保健当局が野外病院を設置している北部地域など感染リスクの高い地域に住む家庭に配布するとしている。また、過密状態にあり不潔な刑務所で感染が広がる可能性も懸念されている。

WHOのアブバカル氏は「感染拡大はまだこれからだろう」との見解を示した。



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