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「自分らしく生きる」「差別に反対」 トランスジェンダーの人権訴え東京・新宿で1000人が行進 :東京新聞 TOKYO Web


トランスジェンダーの人権を訴え行進する人たち=12日、東京都新宿区で

 トランスジェンダーの人権や尊厳を訴え、当事者や支援者らが街を行進する「東京トランスマーチ」が12日、東京都新宿区内で開かれた。約1000人(主催者発表)が「自分らしく生きる」「トランス差別に反対」などのプラカードを掲げて歩き、アピールした。

沿道の人から声援も受けた=12日、東京都新宿区で

 トランスジェンダーは、出生時の性別とは異なる性を自認する人々を指す。トランスマーチは各国で企画され、東京では昨年に続き2回目。1998年11月、米国で当事者が殺害された事件にちなみ、各国で追悼イベントなどがある「トランスジェンダー追悼の日」(20日)を前に開催された。

 参加者は新宿中央公園を出発し約3.4キロを行進。トランスジェンダーの権利運動で使われる水色、ピンク、白色の3色の旗などを掲げ、沿道に手を振った。

 主催団体の浅沼智也共同代表(33)は「トランスジェンダーであるという理由で社会から排除され、差別的な言動を受ける現状がある。連帯してトランスジェンダーの問題を考えていきましょう」とあいさつ。参加したトランスジェンダー女性で当事者支援の「乙女塾」代表、西原さつきさん(36)は「自分の好きな姿で堂々と歩こうと伝えたい」と話していた。(奥野斐)

◆「差別構造に目を向け一緒に声上げて」関連本翻訳、自身もノンバイナリーの群馬大准教授

翻訳した書籍「トランスジェンダー問題」について話す群馬大の高井ゆと里准教授=東京都千代田区で

 「トランスジェンダーへの差別は国を問わず構造的な問題ではないか。その実態を知ってほしい」。群馬大の高井ゆと里准教授(32)は倫理学が専門で、法整備などトランスジェンダーが生きやすい社会づくりを説く。自身は性のあり方が男性にも女性にも当てはまらない「ノンバイナリー」で、その立場からトランスジェンダーに関する本を翻訳するなど社会の理解が深まるように尽力している。

 トランスジェンダーは人口の1%にも満たず、性別適合手術をして戸籍の性別変更をしている人から、外見だけを変えて暮らす人まで状況はさまざまで複雑だ。「ホルモン治療などをしながら性別を変えていくことは、今の社会ではまだまだ命がけ」と指摘する。

 そんな高井さんが、「日本のトランスジェンダーのために翻訳したかった」という1冊がある。昨年、英国で出版され、当事者の困難や法制度の問題点を指摘した話題書だ。

 翻訳し刊行した本のタイトルは「トランスジェンダー問題—議論は正義のために」(ショーン・フェイ著、明石書店)。著者は英国のトランスジェンダー女性で、学校や職場、地域で当事者が直面する困難や法律、医療、労働環境の問題を紹介した。

 2012年冬、英国で「クリスマス休暇明けに女性として仕事に戻る」と保護者向けの便りに書いた32歳のトランスジェンダーの教師が数カ月後、自ら命を絶った。本はこのエピソードから始まる。地元メディアが「子どもが困惑する」と報じ、著名なコラムニストが「誤った仕事に就いた」と攻撃的に書くなどで、教師は精神的に追い詰められていったという。

 この後も、英国内ではトランスジェンダーの社会参加を巡って議論が続き、20年の労働党党首選では全候補者に質問がなされたほどだった。高井さんは「日本でもトイレや更衣室利用、スポーツでの男女区分などを巡って、トランスジェンダーの社会参画が進むと性犯罪が増加するかのような言説が広がっている。英国のようにならないように」と願う。

 その上で「トランスジェンダーは問題を起こす存在だと考えられがちだが、当事者を苦しめる差別やいじめ、貧困、法整備など社会的な問題は議論されない。差別構造に目を向けて一緒に声を上げてほしい」と話している。(奥野斐)





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