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『ザ・ビートルズ:Get Back』は期待以上に最高だった 絶対に見ておくべき理由とは? | マイナビニュース


『ザ・ビートルズ:Get Back』がいよいよ配信スタート。ピーター・ジャクソン監督の計8時間に及ぶドキュメンタリー3部作は、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴによる最後の作品についての定説を覆し、これまでのバンドに対する捉え方をがらりと変える。ここ日本でも話題沸騰中の本作、その魅力に迫る。

『ザ・ビートルズ:Get Back』

PART1:11/25(木)/ PART2:11/26(金)/ PART3:11/27(土) 各日17:00より配信スタート

※ディズニープラス加入者の方は配信スタート以降、いつでも好きな時間に視聴可能

ついにDisney+で配信がスタートした3部構成の新作ドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』。数ある名場面のひとつが、ポール・マッカートニー作の「She Came In Through the Bathroom Window」のジャム・セッションだ。みなこの曲を心底気に入った。ジョージ・ハリスンがギターをかき鳴らす。リンゴ・スターがドラムを乱れ打つ。ジョン・レノンが鍵盤を叩き、ポールと丁々発止を繰り広げる。ポール「警察署を辞めてきた」 ジョン「仕事を見つけろ、兵隊さんよ!」 ポール「まともな仕事を見つけたよ」 ジョン「俺に言わせりゃ、潮時だぜ!」 メンバー全員の息がぴたりと合い、互いに刺激し合っている。他の誰も入り込めない4方向のテレバシーでつながっているかのようだ。世界の頂点に立った4人の少年たちがここに全員集結した(”All Together Now”)。

その翌日、ジョージがバンドを脱退。そうさ、誰にでも辛い過去はある(”Everybody had a hard year”)。

『Get Back』はファンに捧げる感謝祭の贈り物だ――ビートルズとともに過ごす8時間弱。期待していた以上に愉快で、騒々しく、悲しくて、リアルだ。だがアルバムやコンサートの制作秘話というわけではない。驚くほど固い絆で結ばれた友情――今も昔も変わらぬ、世界から愛された4人組の姿だ。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴはひとつのチーム、ひとつの集合体を象徴する存在となった。世界を相手に立ち向かっていったやんちゃ坊主たち。彼らはまた別離の象徴でもあった。『Get Back』では固い絆が崩れてゆく様が描かれる。だが同時に、彼らが必死に食い止めようとする姿も描かれている。

ピーター・ジャクソン監督が『Get Back』に取りかかったのは2017年。現在に至るまで、もっとも熱望されたロック・ドキュメンタリーなのは間違いない。当初は2時間の長編映画を想定していたが、最終的に3部構成のドキュメンタリーシリーズとして、11月25日〜27日までDisneyのストリーミングチャンネルで放映される(※ディズニープラス加入者の方は配信スタート以降、いつでも好きな時間に視聴可能)。監督は保管されていたお宝映像の山を掘り起こし、もっともコアなビートルズのブートレック収集家さえも知らない驚きの映像を引き当てた(すでにジャクソン監督の口からは18時間相当のディレクターズ・カット版の話も出ている。ひとこと言わせてもらえるなら、ここで待ちぼうけを食わさずに今すぐ案内してくれ!)。

「大人しい場面」こそ醍醐味

『Get Back』は1969年1月、ニューアルバムの制作に取りかかる4人の姿を追っている。このアルバムが、のちに悲喜こもごもの最後の作品となる『レット・イット・ビー』だ。バンドはリハーサル風景を1本の映画にしようと、撮影クルーを招き入れた。映画はその月の最後に行われたかの有名な屋上ライブへと向かっていく。映画版『レット・イット・ビー』のほうは、バンドの解散を描いた残念な作品として有名だ。ご覧になった人であれば、そうした悪評も当然だとご納得いただけるだろう。

ジャクソン監督はアーカイブ映像を掘り起こし、60時間分の映像に目を通した――昨年ローリングストーン誌に語ってるように、最初は本人も気が進まなかったそうだ。「すでに世に出ている映像が、これならOKと彼らが判断したものだとすれば、残り55時間はどんな内容なんだろう?と思ったよ」 だが苦労の末に実ったものは、映画版『レット・イット・ビー』のような薄っぺらい興ざめ作品とはまるで違う。笑いと音楽とバカ騒ぎ。喧嘩するビートルズ。ふてくされるビートルズ。互いに神経を逆なでするビートルズ。彼らの友情は複雑で乱雑だ。だがそうした一触即発状態にも、彼らはつねに切磋琢磨し続けた。

『Get Back』は屋上ライブに至るまでの日々を辿っていく。基本的には「予定通りにショウを成し遂げられるのか?」という作り――映画『ハード・デイズ・ナイト』と同じ流れだ。こざかしいナレーションや有名人のインタビューはなし。4人だけ。「そこがピーター・ジャクソン監督の最新作『Get Back』の素晴らしい点だよ」と、この夏ポールもローリングストーン誌に語っている。「やや大人しい場面もあるよ。それこそまさに、監督が80時間分の映像の編集に明け暮れた証拠だ。彼は非常に配慮して些細な瞬間も全て残したんだ。それでも中には、80時間まるまる見たい、というファンもいるだろうね」

そうした「大人しい場面」こそがこの映画の醍醐味だ。感動的な瞬間がぎっしり詰まっている。ヨーコにガムを差し出すリンゴ。男性陣が「Let It Be」を演奏している間、ひそひそ話をするリンダとヨーコ。ポールが「Strawberry Fields Forever」をピアノで演奏する間、ジョンは数フィート離れた場所に腰を下ろし、気にしない風を装ってギターの上にかがみこむ。まるで今この瞬間起きていることは自分には関係ないとでも言いたげに。

バンド内の諍いも生々しく

『Get Back』はバンド内の諍いをなかったことにするのではないか、と懸念した人もいるだろうが、心配ご無用。ピリピリした場面も登場する。偉そうに怒鳴り散らすポールを横目に、ガムをくちゃくちゃ噛むジョン。ジョージはいつものように、我儘な女王よろしくふるまっている。『Get Back』には貴重なジョージの塩対応っぷりも満載だ。「この曲のタイトルは『Ive Got a Feeling?』だっけ?」とポールに冷淡に尋ねるジョージ。ビートルズが映画史上指折りのコメディ軍団に挙げられる理由は、何より彼の存在が大きい。

映画版『レット・イット・ビー』でもっとも有名なのが、ポールとジョージがギターのパートをめぐって激しくやり合うシーンだ。「お前の気に入ることは何でもやってやるよ」とジョージが小ばかにしたように言う。彼は冷たい視線を送りながら一呼吸置いて、「でもお前は自分でも何が気に入ったかわからないだろうな」と言い放つ。彼はその気になれば、あのベティ・デイヴィスさえも熱狂させることができた。

だが前後関係を知っているだけに、『Get Back』のこの場面はなんとも痛ましい――2人が言い争っていた曲は「Two of Us」。ポールとジョンが愉快気に視線を交わしてハーモニーを奏でる一方、ジョージの顔にはふつふつと怒りが燃えたぎっているのがわかる(ハリスン、君はポーカーには向かないな)。当然ながら、彼の怒りの原因はこの曲だ。ジョン&ポールのデュエットからつまはじきにされたと感じ、怒り心頭だったに間違いない。ディランやザ・バンドといったミュージシャン仲間をはじめ、地球上の誰もがジョージを世界トップクラスのアーティストとみなしていた。だがビートルズは、いまだに彼を子ども扱いしていたのだ。

底なしの忍耐力を持つストイックな聖人リンゴでさえ、堪忍袋の緒が切れた(リンゴにも堪忍袋があったとは!)。これでバンドは終わりだね、と『レット・イット・ビー』の監督が言うと、リンゴがキレる。「俺たちの機嫌がちょっと悪いからって、憶測でものを言うな!」 仲間を擁護するために加勢するリンゴの姿は感動的だ。ビートルズは日がな互いの足を引っ張ることもあったが、この期に及んでも外部の人間に一切口出しさせなかった。ビートルズのメンバー以外で彼らが信頼を置いていたのはただ1人、忠実なツアーマネージャーのマル・エヴァンスだけ。この映画の影のヒーローは、『ロード・オブ・ザ・リング』に例えれば、4人のフロドを支えるサム役だ。

ヨーコとリンダにまつわる名場面

おかしなことに、長年ヨーコはレコーディングの邪魔者というレッテルを張られてきた。だが『Get Back』はそうした誤った認識をついに覆す。彼女があの場にいたのはジョンが彼女を必要としていたからだ。ただし、彼女が干渉しないという条件で。ひとつ貴重なシーンがある。メンバーが「Dont Let Me Down」に取りかかっている間、胸の内をさらけ出すこの曲のインスピレーションとなった女性ヨーコが、ジョンの肩についたパンくずを払い落とすのだ。彼女が新聞を読むかたわらで、ジョンが「この愛は永遠に続く!」と泣き叫んでいる。

ポールはいつも一足早く、おそらく他のメンバーはまだ目を覚ましていないうちからスタジオに入る。彼がピアノに座って「Martha My Dear」をかき鳴らし、作曲方法を披露する名場面がある。「ここから先は」とポールが説明する。「自分で止めない限り、誰にも止められないんだ!」 いかにもポールらしい名言だ。

音楽フォトグラファーのリンダ・イーストマンをポールが同伴するシーンもある。カメラマンに彼女を紹介し、「リンダはカメラマンなんだよ」と付け加える。それからピアノに腰かけ、あっと驚く新曲をいくつか弾いてみせる。「Golden Slumbers」「Another Day」「The Long and Winding Road」。どれも未完成だったが、彼はひたすらリンダのために披露する。この女性にいいところを見せようとしていたのだ。

(この些細なシーンはいくら強調しても足りない。この時すでにポールはリンダを生涯の伴侶と心に決めていたのだ。彼は正しかった。2人はその後38年間ずっと、リンダが息を引き取る日まで一心同体だった。この時、彼はまだ若きロックスターで、地球上でもっとも愛される独身男性だったのは言わずもがな。だが彼はそんなことには動じない。一生に一度の決断に、絶対の自身を持っていた。当時の彼は26歳。認めよう、我々世間はポール・マッカートニーの謎にかすりすらしていない。こんな人間は後にも先にも彼しかいない)

解散間際の「知られざる」素顔

しかし、バンドと撮影クルーの間にはつねに緊張が走っていた。監督は演奏を中断して、いちゃもんをつけずにはいられなかった。バンドが1日スタジオを空けていた時、撮影クルーが楽器を手にして即興演奏をする、という醜態をさらした場面もある(こいつらは『ハード・デイズ・ナイト』を見たことがないのか? 誰もリンゴのドラムに触れちゃいけないんだぞ! 奴らは彼の伝説に大きな影を落とした)。

ある朝ジョンは、前の晩に会ったばかりの男、マネージャーのアラン・クラインについてジョージに語る。「彼は君と同じぐらい僕のことを知ってるんだ! すごい奴だよ」 バンドの終焉にクラインが果たした役割を考えると、なんとも悲しい。タイタニック号が氷山を前にした瞬間だ。

一方で屋上ライブの日が近づくにつれ、締め切りが刻一刻と迫ってくる。曲数が足りないとジョージ・マーティンが不平をもらすと、ポールは「まだリハーサルすらしてない曲がたくさんある。今は『Mother Mary』と『Brother Jesus』というスローナンバーを2曲やっているところだ」と言って彼を安心させる。だが表向きは陽気にふるまいながらも、内心ポールも心配になっていた。「あてもなくさまよっているだけではどうにもならない」と打ち明ける。最終的に屋上ライブをやり遂げた時、彼らがほっと胸をなでおろすのが見て取れるが、同時に演奏のすばらしさに本人たちも驚いていた。「Ive Got a Feeling」を終えたところで、ジョンが思わず「ファック、イエー!」と叫ぶ(どういうわけか、この一声はのちにリリースされたバージョンにも収められている)。

だが『Get Back』でもっとも胸を打つシーンは、ジョージが辞めた後だ。彼が戻ってくるかのどうか、誰にも分らない。皆が集まってヨーコについて文句を言う中、ポールは彼女を弁護する。「50年もしたら笑い話になるよ、『彼らはヨーコがアンプの上に座ったから解散したんだ』ってね!」と冗談を言う。みな笑い声をあげるが、ポールの瞳には悲哀の色が浮かんでいるのがわかる。自分の人生が変わっていくのを彼も自覚している。彼は自分でもはっきり理解できないものの渦中にいた。ピーター・ジャクソンが昨年ローリングストーン誌に語るまで、誰もこの瞬間がフィルムに収められていたことを知らなかった。カオスのさなかも、ともに演奏するチャンスを少しでもとらえようとしていた4人の青年たち。おぼつかない友情だったが、暗闇の時期にあっても、4人全員がバンドを継続させようと奮闘していた理由が伺い知れる。

【関連記事】ザ・ビートルズ解散劇の裏側 メンバー4人の証言と映画『Get Back』が伝える新発見

From Rolling Stone US.

©2021 Disney ©2020 Apple Corps Ltd.

ドキュメンタリー作品『ザ・ビートルズ:Get Back』

■監督:ピーター・ジャクソン

■出演:ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター

11月25日(木)・26日(金)・27日(土)

ディズニープラスにて全3話連続見放題で独占配信スタート

公式サイト:https://disneyplus.disney.co.jp/program/thebeatles.html

公式写真集 『ザ・ビートルズ:Get Back』 日本語版

ページ数:240ページ

サイズ:B4変型判(302mm x 254mm)

ハードカヴァー仕様(上製本)

詳細:https://www.shinko-music.co.jp/info/20210129/

ザ・ビートルズ 

『レット・イット・ビー』スペシャル・エディション

発売中

ユニバーサル・ミュージック公式ページ:https://sp.universal-music.co.jp/beatles/



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