12.7 C
Tokyo
Home日本のゲームイベント【インタビュー】あの「アス...

【インタビュー】あの「アストロシティミニ」が縦モニターになって新登場! 「アストロシティミニ V」開発スタッフインタビュー – GAME Watch


 セガの汎用ビデオゲーム筐体「アストロシティ」を6分の1サイズで再現し、同社歴代のアーケードゲーム37タイトルを収録した「アストロシティミニ」。その第2弾となる、モニターを縦型にセットし、シューティングゲームを中心に22タイトルを収録した、その名も「アストロシティミニ V」が来夏に発売されることが早くも決定した。

 発売からちょうど1周年を迎えたタイミングで、しかも縦モニターでセガ以外のタイトルも遊べる第2弾が発表されるとは……。まさか、まさかの発表には、長年のセガマニアもさぞ驚いたことだろう。

【「アストロシティミニ V」】

<収録タイトル>
「ムーンクレスタ」 (日本物産/1980年)
「ZAXXON」 (セガ/1982年)
「テラクレスタ」 (日本物産/1985年)
「コスモポリス ギャリバン」 (日本物産/1985年)
「アクションファイター」 (セガ/1986年)
「TATSUJIN」 (東亜プラン/1988年)
「レッスルウォー」 (セガ/1989年)
「鮫!鮫!鮫!」 (東亜プラン/1989年)
「雷電」 (セイブ開発/1990年)
「アウトゾーン」 (東亜プラン/1990年)
「ソニックウイングス」 (ビデオシステム/1992年)
「達人王」 (東亜プラン/1992年)
「ドギューン!!」 (東亜プラン/1992年)
「デザートブレイカー」 (セガ/1992年)
「BATSUGUN」 (東亜プラン/1993年)
「V.V(ヴイ・ファイヴ)」 (東亜プラン/1993年)
「戦国エース」 (彩京/1993年)
「疾風魔法大作戦」 (ライジング・エイティング/1994年)
「ガンバード」 (彩京/1994年)
「ストライカーズ1945」 (彩京/1995年)
「アームドポリス バトライダー」 (ライジング・エイティング/1998年)
「バトルバクレイド アンリミテッドバージョン」 (エイティング/1999年)
※メーカー名は稼働当時のもの

 そこで弊誌では、早速「アストロシティミニ V」の秘密に迫るべく、開発スタッフに話を伺った。また本機の開発に協力した、今や世界一有名なゲームセンターと言っても過言ではないであろう、高田馬場ゲーセンミカドの池田稔店長のコメントもいただいたので、併せてご紹介する。

 はたして、本機はどのようにして生まれたのだろうか? 「アストロシティ」、縦置きのモニター、そして本機に収録された数々の名作シューティングゲームに対し、外の寒さを吹っ飛ばすほどの熱い思いを持った、開発スタッフの皆さんの熱血トークをぜひご堪能あれ!

【インタビュイー】

セガトイズ プロデューサー 青地優一氏

セガトイズ プロジェクトディレクター 跡部裕彦氏。「アストロシティミニ V」にちなんで“V”ポーズ!

ありとあらゆるシューティングゲームが、「ミカド仕様」で快適にプレイ可能に

――本日はよろしくお願いいたします。まずは「アストロシティミニ V」の商品化が決定した経緯からお尋ねしたいのですが、本機は昨年発売した「アストロシティ」が好評だったから発売が決定したと考えてよろしいでしょうか?

青地氏:そうですね。「アストロシティミニ」は、その前にセガより発売した「メガドライブミニ」共々、世界中でたいへんご好評をいただきました。「アストロシティミニ」は、セガ設立60周年のタイミングに合わせて弊社セガトイズで作ったものですが、セガのさまざまなタイトルを収録し、エミュレーション技術も多様に使った、非常にハードルの高い商品でしたが、それを乗り越えて作られたものが皆さんに認めていただけたのでシリーズ化することができました。

アストロシティミニ

メガドライブミニ

――発売はまだまだ先のお話ですが、すでに開発はスタートしているのでしょうか?

跡部氏:来夏の発売を目標に、現在のところ開発は順調に進んでいます。今回収録する22タイトルのほとんどはシューティングゲームですから、より繊細な操作感が求められると思いますので、プレーヤーの皆さんが快適に遊べる商品にしたいですね。

――開発スタッフの皆さんは、以前の「アストロシティミニ」と同じと考えてよろしいですか?

青地氏:はい。プロモーションも含めて、以前とほぼ同じ体制で企画、開発から製造までを弊社のチームが一丸となって動いています。

――当然ながら、「アストロシティミニ V」で特に気になるのはモニターを縦向きに固定したことです。なぜモニターを縦型にしようと思ったのでしょうか?

「アストロシティミニ V」では縦向きモニターに

跡部氏:そもそも、「アストロシティミニ」を最初に企画した段階で、もし皆さんからご評価をいただければ、セガのAM(アミューズメント)クラシックシリーズとして出し続ける構想がすでにありました。お蔭様で、世界中の皆さんから「アストロシティミニ」がご好評をいただけましたので、シリーズ化が決定したという次第です。

 セガ歴代の、ありとあらゆるAM機器、筐体を商品化の対象として、青地と一緒に次回はどんな企画にしようか、どこにフォーカスしようかと考えました。別の種類の筐体で出すアイデアも当然あったのですが、私としては「アストロシティ」本来の姿を皆さんにもっとお見せしたい、かつては横画面と同等の存在感があった、縦画面の「アストロシティ」もお見せしたいなあと。さらに、画面サイズをもっと大きくしたいという思いもありましたので、じゃあ縦画面に焦点を絞ろうと決めました。

 80〜90年代のアーケードゲームと言えば、やはり縦画面のシューティングは欠かせないですよね? 前回はセガ設立60周年に合わせた商品でしたので、収録タイトルは幅広いジャンルから集めましたが、今回は縦画面シューティングにほぼ特化したうえで開発してみようと思い付きました。

――商品名の「V」は、モニターの縦置きにちなんで英語の「Vertical(バーティカル)」から取ったのでしょうか?

跡部氏:仰るとおりです。実は「バーティカル」のほかにも意味がありまして、私が書いた最初の企画書の段階から、シューティングゲームでの勝利を意味する「Victory」と、火山のような熱量を保ちたいという意味から「Volcanic」もコンセプトにしています。我々自身の熱量も、企画当初からずっと冷めずに続いていますので、きっと皆さんにも熱さが伝わるものがお届けできるのではないかと思っています。

――本機の開発にはゲーセンミカドの池田稔店長をはじめ、スタッフの皆さんも協力しているそうですね。

跡部氏:はい。弊社とミカドさんとの最初の接点は、コロナ禍の最中に発売された「アストロシティミニ」を通じてできました。ミカドさんも、お店がコロナ禍で大変厳しい状況のなか、我々も60周年のミッションを進めるうえで困っていたところ、「アストロシティミニ」を通じて接点ができた結果、商品の魅力をうまく伝えることができたんです。

【高田馬場ゲーセンミカド】

――確かに、ミカドでは「アストロシティミニ」の実機を使用した実況プレイなどの配信をしていましたよね。

跡部氏:「アストロシティミニ」の発売後、お礼のご挨拶も兼ねて青地と私とでお店に伺いまして、店長の池田さんに「次回作としてこんな商品を考えてるんですけど、開発にご協力をいただけないでしょうか?」とお願いをしました。ミカドさんには、収録タイトルのセレクトですとか、モスさん(※1)などのご担当者様を紹介していただいたり、プロモーションにもご協力をいただけることになりました。

※1……モスさん:「雷電」シリーズの権利を取り扱う、株式会社モスのこと。

青地氏:当時は、まだ正式な商品名が決まっていなかったので、「アストロシティミニ1.5」という仮称でしたが、我々の思いをミカドさんにもご理解いただけて本当にありがたかったですね。

――本機の資料を拝読したところ、収録タイトルが「ミカド仕様」で遊べるとのことでした。「ミカド仕様」とは、具体的にどんなものか教えていただけますか?

跡部氏:せっかくミカドさんのご協力をいただけることになったので、ボタンの配置や連射ボタンの設定などを、お店で稼働している筐体と同じ「ミカド仕様」で遊べるようにします。同じ連射ボタンでも、タイトルによっては秒間15連射だったり30連射だったり、それぞれに最適な調整をしたうえで発売する予定です。

 またリリースの際は、各収録タイトルの紹介文を池田さんに書いていただいたほうが、より皆さんに熱が伝わるだろうと思いましたので、紹介文は「池田節」で書いて下さいとお願いしました。

――それはいいアイデアですね! ゲーセンと同じ環境で遊べるようになれば、スコアアタックにもますます熱が入りそうです。

跡部氏:ミカドさんとお仕事をさせていただくのであれば、ただプロモーションだけをお願いするのは何だかもったいない気がしたんですよ。我々としても、ミカドさんには本当に感謝しておりますし、ミカドさんも弊社だけに限らず、企業案件としていろいろとお付き合いができるきっかけにつながったことも良かったのではないか、と思っております。

――それにしても今回の収録タイトルは、セガから見れば他社製品のほうが圧倒的に多いのには驚きしました……。

跡部氏:正直、あり得ないリストですよね(笑)。タイトルのセレクト時は池田さんとも相談をしまして、ほぼ当初のコンセプトどおりに収録をすることができました。

――他社とのライセンス契約を結ぶ際に、何か苦労された点はありますか?

跡部氏:中には交渉が難航したケースもありましたが、ミカドさんのご協力のおかげでセガトイズ単体では実現できなかったタイトルも収録できました。今回の「アストロシティミニ V」では、他社さんのタイトルをたくさん収録させていただくにあたり、我々のほうは一歩引いたポジションを維持したうえで、他社さんのタイトルも内包する汎用筐体である、「アストロシティ」本来の姿を再現することができればと考えております。

 それから、昨年の「アストロシティミニ」を開発していた頃から、AM市場の状況にいろいろと動きがありましたよね? コロナ禍の影響を受けたり、私も寝耳に水で驚いたセガのゲームセンター運営事業の譲渡(※2)があったりですとか。そんな中で、かつてゲーセンで育ってきた我々としては、ミカドさんを中心にみんなで集まることができればと思っていたところ、ミカドさんが旗振り役をして下さったことで多くのメーカーさんにお集まりいただくことができました。

 特に今回、収録にご協力をいただけたメーカーさんからは、コロナ禍の影響が長引くなか、我々が少しでも支えるための力になれれば、みんなで力を合わせるために集まれたらという思いにもご賛同、ご理解を得ることができました。皆さんからこれほどまでのご恩を受けた以上は、私も青地もますます手綱を締めて、良い品質のものをお客様にお出ししなければ、という使命感を持って開発しようと思っております。

※2……セガのゲームセンター運営事業の譲渡:2020年12月30日、GENDA(現:GENDA SEGA Entertainment)にセガ エンタテインメントの株式を85.1%譲渡。セガブランドのゲームセンターは残ることに。

――先程もモスとの交渉のお話がありましたが、ミカドの皆さんはライセンスの交渉でも大きく貢献されたんですね。本機の開発にあたり、セガ製以外の基板はミカドが所有しているものを使ったのでしょうか?

跡部氏:はい、そうです。前回は、セガ設立60周年記念プロジェクトをきっかけに、お金を使って資産をきちんと保存しようという動きが現場ではあったのですが、今回はミカドさんにご協力いただくことを前提に開発していますので、ミカドさんでお持ちの基板をお借りしました。

 実は、ユーザーの皆さんからは「『アストロシティ』は汎用筐体なんだから、セガ以外のタイトルも入れたっていいのでは?」というご意見もかなりいただていました。私も確かにそうだなと思いましたし、次回はセガの一点張りではなく、いい意味で垣根を壊すための商品を作りたいなとも考えておりましたので、今まさに頑張って開発を進めているところです。

彩京の「戦国エース」※画面はアーケード版のものです

日本物産の「テラクレスタ」といったセガ以外のタイトルも多く収録 ※画面はアーケード版のものです

――収録タイトルを絞り込むにあたり、例えばハムスターの「アーケードアーカイブス」シリーズですとか、来春タイトーが発売予定の「EGRET II mini」に収録されるタイトルと重複するケースが、おそらくあったのではないかと思われます。競合サービスと収録タイトルが重複すること自体に問題はなかったのでしょうか?

跡部氏:みんなが同じ方向を向いているのであれば、我々としても共感できる部分がありますので全然気にしていません。そこは気にならないですね。

――今回の収録タイトルの中で、青地さんが特に思い入れがあるタイトルはどれになりますか?

青地氏:「ムーンクレスタ」ですね。中学生の頃から遊んでいて、だいぶお金を飲まれましたので自分でもかなりうまくなったと思っていたのですが、この間ミカドで久々に遊んだら全然ダメで……。ほかにもタイトルの候補がいろいろとある中で、かなり古いゲームではありますがぜひ収録したいと思って選びました。

跡部氏:もし80年代以前のタイトルを収録してしまうと、もう古過ぎて「アストロシティミニ」のファン層から離れたものになってしまうだろうと思いましたが、「ムーンクレスタ」に関してはハムスターさんとプラチナゲームズさんが、新シリーズとなる「ソルクレスタ」の開発を今まさにされていますし、シリーズの系譜として「アストロシティミニ V」に入れてもいいだろうということで、ハムスターさんのご支援もいただいたうえで収録することができました。

青地氏お気に入りの「ムーンクレスタ」。ドッキングに成功すると3機合体攻撃ができることで有名な、シューティングゲームの古典的名作だ

――では、跡部さんが個人的に思い入れのある収録タイトルはどれでしょうか?

跡部氏:「レッスルウォー」です。ゴージャスなシューティングのタイトルがそろっているところに、セガマニアの皆さんには一番のツッコミどころになるだろうということで、あえて選んでみました。過去にメガドライブに移植されたことはあるのですが、アーケード版に比べてかなりデチューンされた内容でしたので、アーケード版を忠実に再現した移植版は、実は今回が初めてなんです。かなりクラシックなプロレスゲームですけど、当時としてはリッチなグラフィックスでダイナミックな演出がありますので、もしミカドさんで何かイベントをやったらきっと盛り上がると思いますよ。

【レッスルウォー】

――プロレス好きの跡部さんらしいセレクトですね! 確かに、「レッスルウォー」に登場するレスラーたちは、当時としてはサイズが大きくて筋肉とかもリアルに描かれていた印象があります。

跡部氏:そもそも、縦画面のセガのタイトルはかなり少なく、以前の「アストロシティミニ」でも縦画面のタイトルをいくつか収録しましたので、おのずと選択肢が限られる事情もあったのですが、あえて異質な「レッスルウォー」を収録したのは、縦シューばかりがズラっと並んだところに、何か1つ味付けになるもの入れたかったからなんですね。

――今、味付けというお話がありましたが、ほかのセガ製の収録タイトルをざっと見ますと、「アクションファイター」なども今となっては非常に珍しいタイトルのように思われます。

跡部氏:こちらはセガ・マークIII版以来の移植ですね。私もゲーセンで見た記憶がほとんどなく、当時のハイテクセガで1回遊んだかどうかなので確かに珍しいと思います。それから「デザートブレイカー」は、今回が全ハードを通じて初めての移植となります。

セガ・マークIII版以来の移植となる「アクションファイター」※画面は開発中のものです

今回が初移植の「デザートブレイカー」※画面は開発中のものです

外部出力も縦画面に対応! 「かんたんセーブ」やディップスイッチ切り替えなどの新機能も追加

――先程「アストロシティミニ V」のモックアップを拝見したところ、モニターのサイズが以前よりも大きくなったみたいですね。

跡部氏:はい。3.97から4.6インチにアップしています。

青地氏:それと今回は、モニターのサイズが4:3になったのもポイントですね。

跡部氏:前回は16:9のモニターだったので、非表示の部分が正直かなりあったのですが、今回は4:3にしたことで非表示の部分がほぼなくなり、以前よりも2倍ぐらい大きく見えるようになりました。ですから敵弾が嵐のように降ってくるゲームでも、高精細で大きくなったモニターを使っているので敵弾がハッキリ見えると思いますよ。

――ちなみに、外部モニターを横向きのまま映像を出力した場合は、左右の余白はどうなるのでしょうか?

跡部氏:基本的には以前と同じで、画面の周囲にフレームが表示される以外はブランクになりますが、「アストロシティミニ V」ではHDMI出力でも縦モニターに対応させました。90度と270度のどちらでも出力できますし、表示位置を微調整することも可能です。まさに、シューティングゲームにこだわったからこそ実現できた機能ですね。

【「アストロシティミニ V」は縦モニター出力にも対応!】

HDMIの映像出力の仕様について説明する跡部氏。縦画面でも遊べて、出力位置の微調整もできるのが実に嬉しい

――縦画面出力にも対応しているのはありがたいですね! ほかにも、「アストロシティミニ V」ならではの機能は何かありますか?

跡部氏:「かんたんセーブ」機能を新たに作りました。前回の「アストロシティ」では、各タイトルにセーブスロットを2個ずつ用意しましたが、セーブメニューを立ち上げる際にボタンを2個同時に押す手間がありました。ゲームが上手な人は、ひと手間あっても苦にならないかもしれませんが、初見の人にとってはゲームを攻略しながら操作するのは難しいとだろうということで、ボタンを1個押すだけでセーブメニューを起動させることなく、すぐにセーブできるようにしました。ロードするときも、1個のボタンを長押しするだけで簡単にできますよ。

 このアイデアは、自宅で練習をしてからミカドに行って、本物の筐体でクリアを目指して遊ぶことを想定したときに、どうすれば快適にプレイできるのかを考えているうちに思い付きました。敵の攻撃を避けながら、ボタンを同時押ししてセーブメニューを立ち上げるのは大変ですよね? でも「かんたんセーブ」があれば、例えばボス戦で第2段階までは避けられたけど第3段階でやられてしまったという場合は、第2段階が終わった瞬間にセーブしておけば、第3段階のパターンを繰り返し練習できますよね。

 今回はシューティングをたくさん収録しましたので、やはりシームレスにセーブ、ロードができるシューティングに特化した機能が必要だろうと。もちろん、「かんたんセーブ」は「レッスルウォー」でも使えますよ。「そんなの、どこで使うんだよ!」と思われるかもしれませんが(笑)。

「アストロシティミニ V」では、右下のボタンを1個押すだけで即セーブできる、かんたんセーブ機能を搭載

――ところで、アーケードゲームは基板のディップスイッチを切り替えることで、難易度や残機設定などを変更することができますよね? 「アストロシティミニ V」でも、ディップスイッチを動かせる設定モードなどが用意されているのでしょうか?

青地氏:ドキッ! もしかして、我々の情報がメディアさんに漏れてるのかも……。

――いえいえ、そんなことは一切ございません(笑)。と、言うことは、今回はディップスイッチの切り替え機能が実装されるんですね?

跡部氏:はい、ご用意します! 実装を決めたことで、我々自身の敷居も高くしてしまったので開発が大変になりましたが(苦笑)、頑張って開発を進めます。

――アーケード版の「バツグン」には、通常版とは別にスペシャルバージョン(※3)が存在したり、「アームドポリス バトライダー」や「バトルバクレイド」などのタイトルは、初期バージョンとニューバージョンとでは内容がかなり異なりますよね? 「アストロシティミニ V」では、タイトルごとに異なるバージョンを選択して遊べるようになるのでしょうか?

跡部氏:大変申し訳ございませんが、今回はオリジナル版だけの収録となります。「バツグン」は初期バージョンのみで、「アームドポリス バトライダー」はバージョンB、「バトルバクレイド」はアンリミテッドバージョンだけとなります。

※3……スペシャルバージョン:通常版よりも難易度が格段にアップし、ステージ構成や敵の出現パターンも大幅に異なるバージョンのこと。アーケードでは未発売となったが、セガサターン版の「バツグン」に収録されている。

――今回はシューティングゲームが中心のラインナップなのでレイテンシー、いわゆる遅延があるのかを気にするファンが非常に多いと思います。こちらの対策についてはいかがでしょうか?

跡部氏:遅延や処理落ちを極力出さず、快適に遊べるように調整したいと思います。収録タイトルの中で一番新しいのが、1999年に発売された「バトルバクレイド」ということもありますし、ユーザーの皆さんからは「本当に動くのか?」といったご心配をおかけしないように全力を尽くします。ご参考までに、いくつか試作版の動画をご用意しましたので、ぜひご覧下さい。

(※と、ここで跡部氏がノートPCを取り出し、「アウトゾーン」、「疾風魔法大作戦」、「バトルバクレイド」の動画を再生する)

――スゴいです! もう現段階で、アーケード版とほぼ変わらない状態で動くものができているんですね。音質も良さそうです。

跡部氏:ありがとうございます。初期段階から、私がプレイした範囲では特に違和感がないところまで再現できましたので、今後は2人同時プレイやボス戦での負荷の検証やデバッグ、細かい部分のチューニングを続けていこうと思っております。

――ちなみに、前回の「アストロシティ」用に発売された、アーケードスティックやコントロールパッドは「アストロシティミニ V」でも引き続き使えるのでしょうか?

跡部氏:はい、もちろん対応しております。

【「アストロシティミニ V」実機からのスクリーンショット】

「アウトゾーン」は、実は今回が日本国内での初移植となる

シューティングにレースの要素を盛り込んだ「疾風魔法大作戦」

「バトルバクレイド」は、スコアがカンストしないアンリミテッドバージョンを収録

演出、プロモーションもさらに強化。特典付きの限定版とテーマソングも引っ提げて、ミカドYouTubeチャンネルの配信がさらに熱くなる!?

――ほかにも、「アストロシティミニ V」で新たに追加した機能などは何かありますか?

跡部氏:「アストロシティミニ V」は、皆さんが思い入れに浸っていただくような商品でもあると思っております。前回も電源がオートオフにならないよう、例えば「バーチャファイター」を起動した場合は、ずっと「バーチャファイター」のデモ画面を眺めていられるように作っていたのですが、「アストロシティミニ V」ではデモ中に一定時間でタイトルが切り替わる「デモループ機能」を新たに導入しました。「アストロシティミニ V」をただ置いておくだけでも、ゲーセンと同じように賑やかになる仕様にしたかったという思いもあったからですね。

――「デモループ機能」もいいですね! 仕事や家事が忙しくて手が離せないときでも、ときどき眺めるだけで目や耳の保養になりそうです。

跡部氏:ユーザーの皆さんからは、「デモ画面をずっと眺めていたい。デモの途中でタイトルを切り替えられるようにしてほしい」といったご要望を以前からいただいていたんですよ。確かに、ゲーセンと同じようにデモ画面や音をずっと見たり聞いたりしたいよなあ、それはそうだよなあと。

 商品を作っている我々も、買って下さるユーザーの皆さんも、同じ時代をゲーセンで過ごした言わば仲間ですから、そのお気持ちはすごくよくわかりますので、じゃあ実装しようと初期の段階から決めていました。電源を切った状態ですと、見た目は前作と変わっていないように思えますが、起動するとソフトは全面刷新されていますし、機能面でもユーザーの皆さんの痒い所に手が届くものができたのではないかと思っております。

――旧「アストロシティミニ」では、メニュー画面でHiro師匠作曲のBGMが流れるようになっていましたが、「アストロシティミニ V」でも同じ曲か、もしくは新曲が流れるのでしょうか?

セガを代表するサウンドクリエイター・Hiro師匠

跡部氏:よくぞ聞いて下さいました! メニュー画面では、Hiro師匠が作曲した新曲のBGMが流れる予定です。ここでもお金と時間をたくさん使いまして、Hiro師匠からも「ぜひ、やらせてほしい」と多大なるご支援をいただきました。

青地氏:毎回毎回、Hiro師匠は我々の無茶振りにご協力をいただけて本当にありがたいなあと。もう感謝の言葉しか出てこないですね……。

跡部氏:それから、今回はプロモーションもパワーアップしたところも皆さんにお見せしようと思いまして、その曲をベースにした光吉(猛修)さんのボーカル付きの新曲も作りました。さらに、光吉さんの熱血ソングを持ち歌以外でも聞きたいなと思いましたので、「もう1曲、『アストロシティ』をテーマにした熱血ソングを作って下さい!」と、お願いしたところご快諾をいただけました。新曲は、17日の20時からミカドYouTubeチャンネルで配信するプロモーション番組で2曲とも公開しましたので、ぜひアーカイブでお聞き下さい。

作曲家・光吉猛修氏。画像は2020年8月23日に開催された「光吉猛修無観客ディナーショー」のときのもの

――熱血テーマソングまで作ってしまうとは驚きました……。それから「アストロシティミニ V」発売の際は、購入特典が付いた限定版なども登場するのでしょうか?

跡部氏:はい。前回はセガトイズ.comで数量限定のピンクバージョンを販売させていただきましたが、今回は全収録タイトルとミカドのロゴが入ったTシャツと、全収録タイトルのメインBGMと今お話した新曲、およびそのカラオケバージョンを収録したコンピレーションアルバムのセットを限定販売します。

 お値段は、我々のほうでもかなり頑張らせていただきましたので、比較的お得になっているかと思います。Tシャツもすごくカッコいいデザインになりましたので、ファンの皆さんにとってはフェスTシャツみたいなアイテムになっています。セガトイズ.com限定で予約を開始する予定ですので、ぜひご期待下さい。また、限定版では青地のこだわりで作った、いかにも記念品らしいデザインにした専用のスリーブもお付けするほか、インストカードのシールが付いたスタイルキットとコントロールパッドもご用意します。

 それから限定版には、ミカドさんの店内写真を使用した背景ボードも付いてきますので、これをバックに「アストロシティミニ」と「アストロシティミニ V」を並べればゲーセンの雰囲気を再現することができますよ。前回から、「『アストロシティミニ』をディスプレイとして飾っておきたい」というニーズが非常に多かったので、今回このようなアイテムをご用意させていただきました。

――前回の「アストロシティミニ」を発売したタイミングで、ミカドYouTubeチャンネルから本機を使った番組をいろいろ配信されていましたが、「アストロシティミニ V」でも同様に番組の配信を予定しているのでしょうか?

跡部氏:はい。まだ発売まで半年ぐらい時間がありますので、これからミカドの皆さんとご相談しながら、どんな内容にするかを検討します。例えば「『バツグン』が完成しました」とか、「ここまで動くようになりました」とか、開発の進捗や続報を順次お届けできたらいいなと考えております。

 17日の配信に続き、18日の21時30分からは同じくミカドYouTubeチャンネルで、「疾風魔法大作戦」と「バトルバクレイド」を池田さんはじめ、ミカドの皆さんがお試しプレイをする配信も実施する予定です。まだ開発中のバージョンを使いますので、操作感に問題はないか、あるいは遅延が発生しないかなど、配信を通じて皆さんから忌憚のないご意見がいただける場になればと思っております。

「疾風魔法大作戦」※画面は開発中のものです

「バトルバクレイド アンリミテッドバージョン」※画面は開発中のものです

――楽しいお話が尽きませんが、お時間が迫ってきたようです。最後にGAME Watchの読者、そしてすべてのセガ、シューティングゲームファンに向けて、おひとりずつメッセージをお願いします。

青地氏:前作の「アストロシティミニ」に続いて、ゲームに熱い皆さんに少しでもいいものをお届けしようと、現在開発を鋭意進めております。前作の発売から1年が過ぎましたが、皆さんの熱が冷めないよう、これから突き詰めていきたいと思っていますので、「アストロシティミニ V」も引き続きよろしくお願いいたします。

跡部氏:「アストロシティミニ」は、セガ設立60周年記念商品というプレッシャーを乗り越えて開発し、皆さんからもご評価をいただけたのは本当に嬉しかった一方で、「もっとこうすれば良かった」などと反省点もいろいろありました。「アストロシティミニ V」の見た目は以前と同じですが、中身は前回の反省点を生かしつつ、なるべく皆さんのご期待に添った形で、まったく新しいものがたくさん入った楽しい商品になるかと思いますので、ぜひご予約をお願いします。また、ミカドさんとの配信もいろいろと行っていく予定ですので、こちらも楽しみに待っていて下さい!

ゲーセンミカド池田店長からのメッセージ:「買わない奴は、全員○○!!」

高田馬場ゲーセンミカドの池田稔店長

「アストロシティミニ V」開発の立役者のおひとりである、ミカドの池田稔店長からもご多忙の合間をぬって、GAME Watch読者に向けた熱いメッセージをいただいたのでご紹介しよう。

――池田店長、およびミカドの皆さんが、本機の開発に協力するきっかけは何だったのでしょうか?

池田店長:昨年の秋頃に、初代「アストロミニ」のプロモーション協力をセガトイズさんから打診されて以来、お付き合いさせていただいております。収録タイトルがとにかくスゴくて、「コラムスII」、「アレックスキッド ロストスターズ」、「青春スキャンダル」、「ワンダーボーイ」など、ゲーセンミカドの配信で高難易度が話題になったタイトルがすべてて収録されていました。いちユーザーとして、いい意味でマニアックに振り切ってる姿勢が好感触だったので、二つ返事でお引き受けした記憶があります(笑)。

――ミカドの皆さんが担当した開発業務の内容も、お答えできる範囲で教えて下さい。

池田店長:収録タイトルのオリジナル基板の提供や、セイブ開発さんや彩京さんなど一部タイトルのライセンス元を、セガトイズさんにご紹介させていただきました。本格的なテストプレイやプロモーション活動はこれからですが、どうせやるなら徹底的にやるつもりです。

――今回の全収録タイトルを見て、率直にどのような印象を持ちましたか? また「ぜひ収録してほしい!」と、個人的にプッシュしたタイトルは何かありますか?

池田店長:収録タイトルの決定までには、いくつかの段階がありました。まず今年の春にセガトイズさんから、実現可能かどうかはさておき「これが全部入ったらいいよね?」という仮のリストを見せていただいたんです。そのリストが、もうとにかくスゴくて(笑)、こんな熱意とマニア魂があるスタッフが開発しているならば僕なんかが口出しする必要はないと思いましたが、「達人王」だけは「実現して欲しい!」とプッシュさせていただきました。

高難易度で有名だが、池田店長の強烈なプッシュもあって収録が実現した「達人王」

――収録タイトルの中で、個人的に特に思い入れがあるタイトルはどれでしょうか? やり込んでいた時期の思い出なども併せて教えて下さい。

池田店長:個人的に思い入れが強いタイトルは「雷電」と「V.V」です。高校生時代、放課後に100円玉をつぎ込み、ゲームセンターで1コインクリアできたタイトルは、やっぱりひいきにしちゃいますね。90年代は、大手メーカーさんからのリリースが大型筐体に偏り始めた時期で、当時はシューティングゲームと言えば東亜プラン、セイブ開発、ビデオシステムといった中堅メーカーが、ゲーセンのビデオゲームコーナーで俄然存在感を出してきて、毎日ゲーセン行くたびにワクワクしていたことを思い出します。

1990年にセイブ開発から発売されたシューティングゲーム「雷電」。※画像はPS4/Switch用「アーケードアーカイブス 雷電」

――各タイトルのボタン配置や設定は、「ミカド仕様」で遊べるようになるとお聞きしました。「ミカド仕様」とはどのようなものか、ぜひ教えて下さい。

池田店長:ゲーセンミカドでは、シューティングゲームをやり込んでくれるお客様からのご要望を受け、タイトルごとに最適な連射装置ですとか、有ると便利な同時押しボタンなどを実装しております。そんな情報やノウハウを、すべてセガトイズ様へ共有させていただきました。

――今月17日に、「アストロシティミニ V」の告知イベントをミカドのYouTubeチャンネルで配信するそうですね。今後も店内からの実況プレイ配信ですとか、あるいはプレーヤー同士での対戦大会など、本機に関するイベント配信の予定は何かありますか?

池田店長:やります! スーパープレイはもちろん、ズタボロ上等なチャレンジ配信、クレジットにモノを言わせて強引にクリアする銭ゲバ配信まで(笑)、楽しい企画で販促も全力で頑張ります。

――それでは、最後にGAME Watchの読者と、全セガおよびシューティングゲームファンの皆さんにメッセージをお願いします。

池田店長:ゲーセンとシューティングゲームが好きなら、ぜひとも手にしてほしいアイテムです。セガトイズさんじゃないと、こんな振り切ったアイテムをリリースできません(笑)。ゲーセンミカド風にPRするとするならば……、

「『アストロシティミニ V』を買わない奴は、全員ミカド出禁!!」(※冗談です)





Source link

最新記事

もっと探る