12.5 C
Tokyo
Homeギャンブルジャーナルエリートアスリートはギャン...

エリートアスリートはギャンブル依存症のリスクが高い? 文献レビューでの考察 | スポーツ栄養Web【一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト】


エリートアスリートのギャンブル依存症やゲーム依存症のリスクを、システマティックレビューで検討した結果が報告された。抽出された報告が多くないため、確実性の高い結論には至らないが、エリートアスリートはとくに男性でギャンブル依存症のリスクが高い可能性が認められたという。

スポーツのストレスによるメンタル不調がギャンブル依存につながる?

アスリートのメンタルヘルスへの関心が高まっている。アスリートの日常はスポーツの世界に特有の強いストレスに曝されていること、「アスリートは健康的である」という社会的な認識が根強いこと、治療へのアクセスにハードルがあることなどが、メンタルヘルス不調のリスクを高める背景因子として考えられている。

非アスリート集団では、ストレスとギャンブル依存症との関連が指摘されている。しかしアスリート集団にもそのような関連がみられるのかという点での研究はまだ少ない。今回紹介する論文は、この点をシステマティックレビューにより検討したもの。

計8件の研究報告を抽出

文献検索は2021年7月に、Scopus、PsycINFO、PubMed/MEDLINEを用いて実施された。アスリート、ギャンブル依存症、ゲーム依存症なとのキーワードで検索。報告年には制限を設けず、言語は英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、およびスカンジナビア語に限った。

ギャンブル依存症に関する報告が57件、ゲーム依存症に関する報告が24件ヒットし、このうちエリートアスリートでの検討という適格基準を満たすものとして、前者は8件、後者は1件のみが抽出された。なお、これらの検索・抽出作業は、システマティックレビューとメタ解析に関する優先報告項目(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analyses;PRISMA)に準拠して行われた。

抽出された研究報告の特徴

ギャンブル依存症に関する8件の報告のうち7件は、英語の査読済みジャーナルに掲載されており、他の1件は書籍だった。出版年は2014~21年の範囲で、3件はスウェーデンからであり、他はオーストラリア、フランス、デンマーク、ノルウェーなどからの報告だった。

1件は男性のみを対象とし、別の1件は主として男性、他の6件は男性と女性の双方を対象としていた。7件は複数の競技アスリートで検討しており、1件はサッカー選手での検討だった。また、8件のうちの2件は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響も含めて検討した研究だった。

一方、ゲーム依存症に関する研究はスウェーデンで実施された、ギャンブル依存症の報告と同じ研究からの報告だった。

エリートアスリートはギャンブル依存症リスクが高く、とくに男性で高い可能性

エリートアスリートとギャンブル依存症

8件中5件の研究は、エリートアスリートのギャンブル依存症リスクは一般人口よりも高いと結論付けていた。反対にオーストラリアからの報告された1件の研究は、一般人口よりもリスクは低い可能性を指摘していた。

全体的に、女性よりも男性アスリートでギャンブル依存症リスクが高いとする報告が多かった。これには、COVID-19ハンデミック下で行われた2件も含まれており、パンデミックによるストレスによるギャンブル依存症リスクは女性アスリートよりも男性アスリートに強く生じていると報告されていた。

ギャンブル依存症リスクの性差の考察

一般人口においても、ギャンブル依存症リスクは女性より男性で高いことが知られている。しかし本論文の著者らは、「エリートアスリートでは、その性差がより顕著に認められる」と述べている。その理由として、以下のような考察を掲げている。

理由の一つは、一般人口においても女性のギャンブル依存症は男性に比べて高齢になってから高まることが関係している可能性を指摘。つまり、仮に女性エリートアスリートのギャンブル依存症リスクが高いとしても、ギャンブル依存症の状態になる時点ではアスリート生活を終了していることが多いのではないかという推測だ。

もう一つの理由は、男性スポーツの世界では女性スポーツに比べて動くお金が大きく、アスリートの収入が多いことが一般的であることが関係している可能性があるという。

エリートアスリートとゲーム依存症

ゲーム依存症について報告していた1件の研究対象者は352人で6割が女性アスリートであり、複数の競技アスリートが対象だった。過去6カ月以内のゲーム依存症の該当者率は、男性が4%、女性は1%だったという。

より多くのエビデンスが必要とされる研究テーマ

今回のシステマティックレビューで抽出された研究では、ギャンブルやゲームのタイプについては詳細に述べられていなかった。また、ギャンブルやゲームへの依存と、他のメンタルヘルス不調との関連についても十分な検討がなされていなかった。加えて、チームスポーツと個人競技とでメンタルヘルス不調の現れ方に差異が存在すると考えられるが、その点を検討するための情報は得られなかった。

著者らは、本研究にこのような複数の限界点があることを指摘し、「エリートアスリートのギャンブル依存症やゲーム依存症のリスクに関するさらなる研究が求められる」と述べている。

文献情報

原題のタイトルは、「Problem Gambling and Problem Gaming in Elite Athletes: a Literature Review」。〔Int J Ment Health Addict. 2021 Dec 1;1-17〕
原文はこちら(Springer Nature)


この記事のURLとタイトルをコピーする

志保子塾2021前期「ビジネスパーソンのためのスポーツ栄養セミナー」

関連記事

スポーツ栄養Web編集部



Source link

最新記事

もっと探る