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オリンピックとSNS 選手のメンタルヘルスをどう守るか|NHKスポーツ



北京オリンピック、9日に行われたスノーボード女子ハーフパイプ予選を1位で通過したアメリカのクロエ・キム選手は、前回のピョンチャン大会で金メダルを獲得したあとSNSで中傷を受けてメンタルヘルスの問題によって一時、競技を離れましたが、再びオリンピックの舞台に戻ってきました。
東京大会でも課題となったSNSでのひぼう中傷や選手のメンタルヘルスの問題。
北京オリンピックでも関心が集まっています。

SNSを通じた“ヘイトクライム”


9日に行われたスノーボード、女子ハーフパイプ予選に出場したアメリカ代表のクロエ・キム選手は、前回のピョンチャン大会で金メダルを獲得し、世界選手権でも2連覇を果たしているトップ選手です。

2回の滑走のうち高い方の得点で順位を競う9日の予選では、1回目で高さのあるエアに成功するなどして87.75の得点をマークしてトップに立ちました。
2回目は着地でミスがあり得点を伸ばせませんでしたが、1回目の得点で予選トップを守り、10日の決勝に進みました。


一方で前回大会で金メダルを獲得したあと、SNSを通じたヘイトクライムやメンタルヘルスの問題に悩まされ、一時、競技を離れていたことをアメリカのメディアに明かしていました。

選手のメンタルヘルスの問題は、去年の東京オリンピックでも体操女子のトップ選手でアメリカのシモーネ・バイルズ選手が、個人総合の決勝を欠場するなど課題として浮かび上がっていて、キム選手の発信で北京大会でも再び関心が集まっています。

活躍の裏で…


キム選手は21歳。両親が韓国人のキム選手はアメリカ・カリフォルニア州で生まれ育ち、4歳の時にスノーボードを始めました。


2015年に14歳で世界のトッププロが集まる大会「Xゲーム」で初優勝し、17歳の時にオリンピック初出場となったピョンチャン大会の女子ハーフパイプで金メダルを獲得しました。

しかし、その活躍の裏では人種差別や偏見に基づくヘイトクライムに悩まされてきたことをメディアに告白しています。


アメリカ最大のスポーツ専門チャンネル、「ESPN」のインタビューでは13歳の時、世界のトッププロが集まる「Xゲーム」で2位に入ってから自身のSNS上に
“中国に帰れ”
“チームにいる白人のアメリカ人の女子からメダルを奪うのはやめろ”
といった差別的なメッセージが寄せられたり、人前でつばを吐きかけられたりするようになったと明らかにしています。

さらに、身の安全を心配しできるだけ1人で出歩かず、護身用のスタンガンや催涙スプレーなどを持ち歩いているといいます。

アメリカの雑誌「タイム」の取材に対しては、ピョンチャン大会で金メダルを獲得したあと、メンタルヘルスの問題からセラピーを受けるようになったことや、ふつうの若者として生活することを望み、しばらくスノーボードから離れてアメリカのプリンストン大学に入学したことを明らかにしています。

競技に復帰したのは2020年3月。
それでも2大会連続でのメダル獲得を目指して北京オリンピックに出場しました。

著名選手があげた声

スポーツ選手のメンタルヘルスに関する問題は、トップ選手が相次いで問題提起を行うなどここ数年、クローズアップされています。


【大坂なおみ選手(テニス)】
去年の全仏オープンで、記者会見が選手の精神的な状況を考慮していないなどとして、選手の義務とされている試合後の記者会見に応じないという対応を取り、そのまま大会を棄権。
「世界中のメディアに向けて話す前には、いつも大きな不安の波に襲われる」などとみずからの状況を説明しました。


【シモーネ・バイルズ(体操/アメリカ)】
体操女子のアメリカ代表のエース。東京オリンピックで「メンタルヘルスの問題に集中するため」として個人総合の決勝を欠場しました。

こうしたトップ選手の相次ぐ意思表明は、選手の精神面のサポートの重要性に関心が寄せられるきっかけにもなりました。

北京でも…


また北京オリンピックでもSNS上でのひぼう中傷が起きています。
フィギュアスケート団体に出場した19歳の朱易選手は、6日に行われた団体の予選の、女子シングルショートプログラムで冒頭のジャンプで転倒するなど動きに硬さが目立ち、10か国中10位に終わりました。


アメリカに移住した中国人の両親のもとアメリカで生まれ育ち、今大会、両親の祖国である中国の代表としてオリンピック初出場を果たした朱選手。
中国のSNS上では朱選手の演技や中国代表に選んだことを批判する書き込みなどが相次いだということで、イギリスの新聞デイリー・メールは「中国代表として戦うためにアメリカ国籍を捨てた朱選手は、中国でバッシングにさらされている」と伝えています。

またロイター通信によりますと、朱選手は試合後に涙を流し「中国の人たちが、私が代表に選ばれたことに驚いていたのを知っていたので、大きなプレッシャーを感じていた」と声を震わせながら振り返ったということです。

“SNSとどうつきあっていくか”

日本では、スポーツ庁が今後の強化プランに心理面のサポートの充実を盛り込んでいるほか、北京大会でも選手の支援に当たっているJSC(=日本スポーツ振興センター)は国内の支援拠点とオンラインで結んで、選手のメンタル面での相談を受けるなど、取り組みに力を入れ始めています。

アスリートのメンタルヘルスに詳しい、国立精神・神経医療研究センターの小塩靖崇研究員は「著名な選手が声を上げたことによって、そのほかのアスリートも自分のメンタルヘルスについて考えるきっかけになり、医療関係者や研究者もアスリートのメンタルヘルスの実態を調べ始めたことで、この問題は前進している」としています。

また、SNSを通じたひぼう中傷については「SNSをすることで、ポジティブに働く人とそうでない人がいる。アスリートにとって、SNSとどうやってつきあっていくかというのは新たな課題だ」と指摘しました。

そのうえで「アスリートは屈強な体で強じんな精神を備えているべきだと捉えられてる文化があるが、そういったところにひとつ考えるきっかけを与えるもので、不安とか悩みとか心の不調は誰もが経験するものだ。アスリートだけでなく、若者のメンタルヘルスの問題に人材やお金が投資されるような社会になっていく入り口になれば」と話していました。



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