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「GAFA」の略語を使うのは日本人だけなのか(山口健太) – 個人 – Yahoo!ニュース


GAFAの一角を占めるFacebookが社名を「Meta」に変更したことで、「GAFAをGAMAに変えよう」とSNSでは大喜利が始まっています。その中で、ときどき見かけるのが「GAFAと呼ぶのは日本人だけ」という指摘です。果たして本当なのでしょうか。

GAFAという略語が日本で広く認知されるきっかけになったと思われるのが、『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』(東洋経済新報社)という書籍です。

『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の表紙(東洋経済新報社のWebサイトより)

表紙には大きく「GAFA」の文字。最初のAにはりんごの葉っぱ、最後のAにはスマイルを付けることで社名を連想させ、「ガーファ」のフリガナで発音も示しています。2018年7月27日の発売後、GAFAは全国紙などでニュースの見出しを飾るようになり、11月には「2018ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされるに至ります。

ところが、米国で2017年10月に発売された原著のタイトルは『The Four: The Hidden DNA of Amazon, Apple, Facebook, and Google』というもの。4社のロゴをあしらった表紙デザインは似ているものの、GAFAという言葉は出てきません。そもそも米国でGAFAをタイトルに含む書籍はほとんど存在しないようです。

原著の『The Four』の表紙(ペンギン・ランダムハウスのWebサイトより)
原著の『The Four』の表紙(ペンギン・ランダムハウスのWebサイトより)

米国のWikipediaでは「Big Tech」の項目にGAFAの説明はあるものの、実際にはあまり使われていないというわけです。英語では単に「巨大IT企業」のように言うか、略語を使う場合でもFAANGやFANGのほうが通じやすい印象です。たとえばFacebookの社名変更を受け、CNBCの投資情報番組で人気のジム・クレイマー氏は「さようならFAANG、こんにちはMAMAA」と言っています。

米国においても、GAFAの4社をまとめて論じる動きは2010年頃からあったようです。2010年5月のTechCrunchのイベントでは、ベンチャーキャピタリストのJohn Doerr氏が「Google, Facebook, Amazon, Apple the ‘four great horsemen of the Internet’」と、この4社をヨハネの黙示録に出てくる四騎士(horsemen)にたとえています。

この頃、4社のことをGAFAと略して呼んだ人がいるのかどうかはよく分かりません。その後、米国でGAFAという略語が登場するのは欧州発のニュース記事が多いことから、GAFAの起源は米国ではなく欧州ではないかとの指摘もあります。最も早いものでは2011年1月21日に英国でGAFAについての分析記事が書かれており、Twitter上ではこの記事を見てGAFAについてツイートした人の投稿が確認できます。

フランスでは2012年春の大統領選において、GAFA(当時の表記は「G.A.F.A.」)が使われたことを報じる記事があります。しかしその文脈は好意的なものではなく、アイルランドやルクセンブルクを活用した節税を問題視しています。2013年1月17日には日刊紙のリベラシオンが米国のならず者4社としてGAFAを紹介。欧州ではGAFA規制を取り上げる記事が増えていきます。

このことから、「GAFAと略しているのは日本だけか」という問いに対する答えとしては、「欧州でも使われている」といえそうです。

日本ではどうでしょうか。グーグル検索ですぐに分かる範囲では、2012年12月20日にYahoo!ニュース 個人で株式会社リボルバーCEO兼ファウンダーの小川浩氏が、2013年7月16日に東洋経済オンラインでジャーナリストの松村太郎氏が、GAFAを紹介しています。

新聞記事では、2015年1月14日に日刊工業新聞が経済同友会代表幹事(当時)の長谷川閑史氏の発言として、2016年9月には経済産業省の報告書にGAFAが登場。国会会議録では2016年10月26日に衆議院議員の高井崇志氏がこれを紹介しています。

ちなみに筆者が自分の原稿で初めてGAFAを使ったのは2017年6月です。この頃には週刊東洋経済の表紙にGAFAが登場するなど、ビジネスパーソンの間に浸透していたようです。冒頭に挙げた2018年7月発売の書籍が原題にはないGAFAをタイトルに加えた背景には、こうした経緯があったものと考えられます。

GAFAの中の人はどんな気持ち?

社名がMetaに変わっても、SNSのサービス名としてのFacebookが変わることはありません。GAFAという略語も当面はこのまま使われ続けるでしょう。

GAFAを退職した人が、「元GAFA」を名乗ることで余計な波風を立たせることなく経歴をアピールしているように、この略語はなにかと便利なものです。しかし、4社は時価総額が非常に大きい米国テック企業という共通点はあるものの、事業構造は大きく異なります。

GAFAの「中の人」にとってもメリットばかりではないようです。むしろ1社が叩かれると連帯責任のようにイメージが悪くなるなど、デメリットのほうが大きいと漏らす人もいます。4社にマイクロソフトを加えるべきとの声もありますが、まとめて規制される恐れがあることを考えると、加わらなくて正解だったといえるかもしれません。

語呂がいいので筆者もつい使いがちな言葉ではありますが、「雑なくくり方」であるという認識は常に持っておくべきでしょう。



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